不思議な出会い〜番外編〜

「お母さん遊びに行ってきてもいい?」
「いいけど気をつけるのよ。」
「わかってるって!」

(今日はここで遊ぼう。
人通りもないみたいだし…大丈夫だよな…。)

「カッパカッパカッパッパー♪」
(気持ちいいなぁ、やっぱり。)

「その踊りなぁに?」
ふいに後ろから声が聞こえた。
振り返ると見知らぬ女の子が立っていた。
(ヤバい!見つかった!逃げなきゃ!)
しかし腕をつかまれてしまった。
「ちょっ…逃げなくてもいいじゃん! 私、矢島愛理!君は?」
「…川太郎」
「川太郎君かぁ。どこの学校?さっきの踊りはなぁに?」
女の子は矢継ぎ早に聞いてくる。
(ヤバいなぁ。お母さんに怒られちゃうよ。)
「あ…あの、僕もう帰らないと…。」
「そうなの?じゃあね川太郎君!今度さっきの踊り教えてね!」
川太郎は急いで家路についた。
(危なかったなぁ。しばらく出てこないようにしようっと…でも今の子かわいかったなぁ…)

初夏の不思議な出会いだった。

その夜、川太郎の家
川太郎はお母さんに怒られている。
「川太郎!あんた今日人間に見つかったでしょう!」
「な…なんで知ってるの?!」
「あの河原に住んでるネネコさんが見たって言ってたよ!」
(ネネコさんかよ。おしゃべりだなぁ…)
「ごめん…つい楽しくてまわりが見えなかったんだ…」
「あんた、しばらく遊びに出ちゃダメだからね!」
「はーい…」(ちぇっ!)

川太郎に外出禁止令がでてしまった…。

あれから一か月、川太郎は外で遊びたくてウズウズしていた。
(あそこへ行ってみようかな…、あの子来るかなぁ?)
川太郎は家を抜け出してあの河原に行った。

(この辺だったよなぁ…、ネネコさんは旅行でいないし…出よう!)
「カッパカッパカッパッパー♪」
「川太郎君!」
後ろから不意に声がした。愛理の声だ!
「あ…君は…」 (会えた!うれしいけど…)
「川太郎君!やっと会えた!」
(誰が見てるか…やっぱりダメだ!)
川太郎は逃げようとした。
「ちょっ…逃げなくてもいいじゃん!」
逃げる川太郎の腕を愛理がつかんだ。
「ダメなんです。他の人としゃべっちゃダメだってお母さんが…」
「なんで?」
「僕は…あの、その…」
「カッパだから?」
愛理の問いに川太郎は小さく頷いた。
「じゃあさ、お母さんにナイショにしなよ!私も誰にも言わないから!友達になろうよ!」
「友達…?」
「そう!友達!」
「いいんですか?僕、一人も友達いないのに…」
「じゃあ私が友達一号だね!」
川太郎の顔がほころんだ。「あの踊り教えて!さっき踊ってたヤツ!」
「いいですよ。じゃあいきますよ!
♪カッパカッパカッパッパー♪」
愛理もマネをする
「♪カッパカッパカッパッパー♪」

それから二人は色んな話をした、愛理の学校のこと、愛理の姉妹のこと…。
(よく話す子だなぁ、僕が話すヒマないや。)

「愛理ー」
舞美が帰ってこない愛理を探しにきた。
「ヤバッ!お姉ちゃんだ!川太郎君、またね!」
「うん、また踊ろうね。」
愛理は帰っていった。
(いい子だなぁ…人間がみんなああだったらいいのになぁ…。)
(人間の友達ができちゃった!みんなにはナイショにしなきゃ…)

二人の友情は今も続いている…。
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