不思議な出会い

学校帰り、愛理は通学路とは違う河原を一人で歩いていた。ほとんど人通りのない河原、

「カッパカッパカッパッパー♪」
川べりで一人で遊んでいる男の子、奇妙な踊りを踊っている。
(…ん?誰だろう?私と同じくらいかなぁ?なんか面白い踊りしてる…)
「その踊りなぁに?」
愛理は近づいて話しかけてみた。
(…!)
男の子はビックリしたように振り返り、愛理をみると逃げようとした。
「ちょっ…待ってよ逃げなくてもいいじゃん!」
愛理は腕をつかんで止めた。
「私、矢島愛理!君は?」
「……川太郎」
「川太郎君かぁ、どこの学校?さっきの踊りはなぁに?」
「あ…あの…僕もう帰らないと…。」
「そうなの?じゃあね川太郎君!今度さっきの踊り教えてね!」
男の子は走って帰っていった。
(…ん?なんか背負ってる?亀の甲羅?)
愛理は腕を組んで首をかしげる、頭の中には「?」がいっぱい。

初夏の不思議な出会いだった。

矢島家、愛理となっきぃの部屋。
「今日さ、変な子に会ったの!」
「どんな?」
「河原で踊ってたの、こんな感じで!」
愛理が川太郎の踊りをマネてみせる。
「アハハ!何それ!」
「でさ、背中に甲羅みたいなの背負ってるの!」
「カッパみたいだね!」
「カッパ…そうかも!」
愛理の目が輝きだした。
「冗談よ!カッパなんているわけないじゃん!見間違いでしょ、どうせ。」
もう愛理には聞こえていなかった
「川太郎君はカッパだったんだ!」


それから愛理は毎日河原を通って帰っていったが、川太郎には会えなかった。

川太郎と出会って一か月、愛理がもう会えないとあきらめかけた日だった。
河原で一人で踊っている男の子、…川太郎がいた。
愛理は走って近づき、
「川太郎君!」
「あ…君は…」
「川太郎君!やっと会えた!」
動転して逃げようとする川太郎に、
「ちょっ…逃げなくてもいいじゃん!」
愛理は腕をつかんで止めた。
「ダメなんです。他の人としゃべっちゃダメだってお母さんが…」
「なんで?」
「僕は…あの、その…」
「カッパだから?」
愛理の問いに川太郎は小さく頷いた。
「じゃあさ、お母さんにナイショにしなよ!私も誰にも言わないから!友達になろうよ!」
「友達…?」
「そう!友達!」
「いいんですか?僕、一人も友達いないのに…」
「じゃあ私が友達一号だね!」
川太郎の顔がほころんだ。「あの踊り教えて!さっき踊ってたヤツ!」
「いいですよ。じゃあいきますよ!
♪カッパカッパカッパッパー♪」
愛理もマネをする
「♪カッパカッパカッパッパー♪」

それから二人は色んな話をした、学校のこと、姉妹のこと…。

「愛理ー」
舞美が帰ってこない愛理を探しにきた。
「ヤバッ!お姉ちゃんだ!川太郎君、またね!」
「うん、また踊ろうね。」
川太郎は帰っていった。

「愛理ー」
舞美が帰ってこない愛理を探しにきた。
「ヤバッ!お姉ちゃんだ!川太郎君、またね!」
「うん、また踊ろうね。」
川太郎は帰っていった。

「お姉ちゃーん!」
「あんた何してんのよ。こんなとこで。」
「友達と遊んでたの!」
「まぁいいけど、気をつけなよ。ここはあたしが小学生の頃からカッパが出るって噂があったんだから。」
「へぇー、お姉ちゃん会ってみたい?」
「ヤだよ、カッパって川に引きずり込んじゃうんだよ!」
「えー、そんなことしないよぉ」
「…愛理会ったことあるの?」
「い…いや、ないけど多分ね…」
「ふーん。」
(川太郎君のことはヒミツにしなきゃ…)


二人の友情は今も続いている…。
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