キューティーセブン

●秘密基地−管制室

 けたたましい警報音とともに、基地内に緊張が走った。管制室からサキの声が響く。

 「東京湾上空に未確認飛行物体発見!。まっすぐ都心方向に向かって接近中。あと
  10分で上陸の可能性!!」
 「まわせーーーーっ!」

 レストランで待機していたマイミは、大急ぎで格納庫へと走り、食べていたカレー
のスプーンを口にほおばったままでヘルメットをかぶり、発進準備の整った機体に飛
び乗った。

 「キューティーレッド、マイミ!、哨戒に向かいます!!」
 「了解!、1番ゲートオープン!!。2号、4号はスクランブル待機!」
 「キューティーバード1号、シルバーイーグル、発進!!!」

 1番ゲートから、マイミの乗った「キューティーバード1号」が射出されると、東
京湾に向けて白煙を上げながら飛び去った。ほんの数秒で音速に達するシルバーイー
グルの加速Gに耐えられるのは、今のところマイミただひとりである。ゆえに、研究
者のあいだでマイミは「ファーストチルドレン」と呼ばれているのだ。

 「いってらっしゃーい!」
 「キューティーオレンジ、エリカ!、2番ゲートにて待機中!!」
 「キューティーグリーン、カンナ!、4番ゲートにて待機中!!」
 「了解。指示を待て」
 「さてと、こっちはこっちで…」

 管制室にいるサキはマイミの出撃を見届け、未確認物体の解析を始める。

●キューティーバード1号−コクピット

 「キューティーバード1号、目標まで、あと1分30秒で到達します」
 「キューティーバード1号、了解」

 マイミの搭乗する機体、シルバーイーグルは、事件発生現場にいちはやく到着し、
その後の作戦計画を立て、指示を行なうための超音速哨戒機である。

 「サーキー。なんでこんなに近くまで来ちゃってんのぉー?」
 「わっかんないよぉ。ワープしてきたか、新手のステルス性能でも身につけたかな
  あ。どっちにしろ『アーリエンズ』の可能性大〜」
 「衛星からの映像まだ〜?、電波解析は〜?」
 「今やってるからちょっと待って〜。こーのポンコツ。早く出せっ!このっ!!」

 このごろ地球では異宇宙生命体が迷い込んで飛来することが多くなり、国連平坦機
構(Union Flat Association=UFA)では、そういうのをまとめて「アーリエンズ」と呼
ぶようになった。ほとんどのアーリエンズは友好的、かつ無害で、ただ地球を見学し
て飛び去るものが多いが、なかには好戦的で、侵略や搾取を目的に破壊活動を行なう
ものもいる。そのため世界各国はUFAの指揮のもとに、それぞれ独自の「アーリエ
ンズ歓送迎ユニット(Ariens Send-off Unit=ASU)」を設置し、穏便にお引取り願うよ
うな対策をとっている。

 日本もそのような「アーリエンズ飛来地」のひとつとして例外ではなく、商店街の
福引で、たまたま1等賞を当ててしまった℃-ute家の7人姉妹が、その任務にあたる
ことになった。彼女たちは、なかばヤケクソ気味に「超美少女戦隊 キューティー7」
という名称を採用し、その活動を始めることになる。「あくまでも『歓送迎ユニット』
なんだから『戦隊』はやめてくれ」とのUFA幹部による要望は、彼女たちの一存に
より、あっけなく却下されてしまった…という経緯がある。

 「来た来たー、映像来たよ〜、全長300m、最大幅50m?、でかっ!、ってか
  ナニコレ?」
 「これは…」

 「「タワシぃ?!」」

●東京湾上空

 大型の石油タンカーほどの大きさはあろうかというその物体は、全身が黒い針状の
触手で覆われており、まるで「空飛ぶタワシ」のように見えた。その映像はUFA本
部にも同時に送られ、本部はこれをアーリエンズであると認定した。また、地球にお
ける個体識別呼称として「ダーツ・ハズレイ」の名前が採用された。

 「キューティーバード1号、目標まで、あと30秒で到達します」
 「キューティーバード1号、了解。電波解析による物体の放射能汚染レベル:グリ
  ーン、化学汚染レベル:グリーン、電磁波干渉レベル:グリーン。接近を許可し
  ます」
 「了解。見えてきたよー、タワシちゃーん」
 「ちゃんと正式名称ついたんだから『ダーツ・ハズレイちゃん』って呼んであげな
  きゃ」

●ふたたび秘密基地−格納庫

 スクランブル待機しているキューティーバード2号と4号には、それぞれエリカと
カンナが搭乗して、コクピット内で緊張の一瞬を待っている。

 キューティーバード2号「オレンジタートル」は、通称「ガメラ」とも呼ばれる寸
胴な機体であり、その胴体部には、短時間で換装が可能なコンテナが内蔵される。そ
れらのコンテナは「ペットコンテナ(略してペット)」と呼ばれ、様々な秘密兵器や、
そうでないものが飛び出す仕組みになっている。

「2番、4番ゲートオープン!、キューティー2、キューティー4、スクランブル
  発進!」
 「キューティー2、オレンジタートル、発進!」
 「キューティー4、グリーンタイガー、発進!」

 キューティーセブンのNo.4、キューティーグリーンこと、カンナが搭乗するキュー
ティーバード4号「グリーンタイガー」は、水中での工作活動を重点に設計された機
体である。ちなみに、キューティーセブンのメンバーが使用するキューティーバード
全7機は、空中、水中、陸上のいずれの領域でも活動可能な「全領域万能工作機
(便宜上、戦闘機とはいわない)」であり、それぞれの機体に得意な活動分野が設定
されているのである。

 「了解。キューティー2、キューティー4は目標到達後、上空で待機」
 「「了解!」」

●ふたたび東京湾上空

 「だめだねえ。マルチウェーブメッセージにも応えない。ってか、ほとんどはねか
  えってこないもの。ステルス性能ばつぐんね。初めてのお客さん?」
 「まだ照会中。UFAのデータベース腐ってない?」
 「とりあえずフィジカルコンタクトしてみますか」
 「気をつけてね〜」
 「のんきにいうなー。これでも一番緊張する瞬間なんだからぁ」

 キューティーバード1号は、巨大な飛行物体に物理接触するため、徐々にその距離
を近づけていった。主翼の先端から伸びる小さなアームで、物体の生体細胞サンプル
を採取し、UFAのデータベースに登録されている既存のサンプルと照合するためで
ある。

 物体までの距離およそ15m、無数の触手に覆われている内部の皮膚のような構造
が見えるか、見えないかのところまで来たとき…

 「うわっ!!!」
 「大丈夫?!、マイミ!、応答して!」

 針のような触手の1本が突然、機体に向かって鋭く伸びた。マイミは急旋回して回
避しようとしたが、触手は尾翼のまんなかあたりを貫き、穴をあけた。

 「触手が攻撃してきた!、尾翼を損傷!」
 「マイミ飛んでる?、飛べる?」
 「びっくりしたあ。被害は微小、航続は可能です。ってか超合金に穴をあけるって、
  相当やばくない?」
 「よかったー、無事で。サンプリングするから2号とコンタクトして」
 「了解〜」

 「目標『ダーツ・ハズレイ』、あと5分で上陸の可能性」
 「(サキ、あいかわらずクールだな〜)」

 物体はその高度、進路ともに変えることなく、また音もなく飛行を続けている。普
段からこわいもの知らずのマイミであったが、さすがに不気味な感じがしてきた。

 「お待たせー!」

 上空からキューティーバード2号と4号が到着した。

 「待ってたよー。エリカはサンプリング準備。カンナは私と交代して哨戒。海面に
  落下物がないか監視して」
 「「了解」」

●またまた秘密基地−格納庫

 「全長300mって、でかくない?」
 「ひさびさに私たちの出番じゃない?」
 「わくわくするー!」

 アイリ、チサト、マイの3人は、格納庫でそれぞれ学校の宿題を片付けながら、姉
たちのやりとりを聞いていた。やがて格納庫入口の扉が開き、管制室にいたサキがヘ
ルメットを抱えてやってきた。

 「アイリ、チサト、マイ。出るわよ」
 「あっ、サキも出るんだ。超珍しくない?」
 「ちょっとね。謎が多すぎるんだ今回のヤツは。ステーションに行く用事もできち
  ゃったし…」
 「でわ、とっとと参りましょー!」

 「3番、5番、6番ゲートオープン!、キューティー3、キューティー5、
  キューティー6、スクランブル発進!」
 「キューティー3、オレンジドラゴン、発進!」
 「キューティー5、レッドフラミンゴ、発進!」
 「キューティー6、ブルーエレファント、発進!」

●またまた東京湾上空

 サキから出動中のキューティーバード全機に報告が出される。

 「サンプル組成解析、結果出ました。過去データなし。未知の重金属です。しかし
  これは生物です。DNA構成は『ナマコ』に類似」

「ナマコぉ?!、これまた珍しいお客さんだ」
 「てか、これ、生物なんだぁ」
 「生物というか『ナマモノ』だね」

 UFAのデータベースには、過去に飛来したアーリエンズの組成データが集積され
ている。物理的な接触によって得られた体細胞のサンプルをもとに、これらのデータ
に一致するものがあれば、簡単に対策が取れる。しかし、今回のように初めて地球に
飛来したアーリエンズの場合には、有害・無害の判断を含めて、慎重な対応をしなけ
ればならなくなる。

 「じゃあさっきの攻撃は、生物特有の防衛反応か…」
 「はっきりしないけど、現時点ではそう判断するしかなさそうだね」

 このようなときに、アーリエンズとの最初のコンタクトをとるのは、決まってマイ
ミの役割だ。

 「まずいなあ、まだなんの反応もないよ。ミサイル打っちゃう?」
 「だーめ、攻撃許可出てません。とりあえずネットで捕獲しましょう」
 「こんなでっかいの捕獲って…、だあれが吊るすのよぉ?」
 「足止めだけでもしておかないとね。チサトたちが来ればなんとかなるでしょ。
  早いとこ止めないと、このまま首都直撃じゃマズイっしょ」
 「じゃ、行きますか。1号、2号、4号、ネット展開準備、ポジション設定」
 「了解」

 マイミの乗った1号機とカンナの4号機は物体の前方に、物体より少し低い高度で
並んで飛行し、エリカの2号機は物体の上空から、その頭部を俯瞰する位置に移動し
た。

「ポジション完了」
 「ネット発射!」

 2号機のコンテナ下部から射出装置がせり出してきて、物体の先頭部に向けて
ネットを発射した。ネットはちょうど物体の頭部を囲むように広がり、その前面に
覆い被さった。物体はさっきマイミが接近したときと同じく、ネットを排除しようと
激しく触手を伸縮させた。しかし、特殊なグラスファイバー製のネットは物体のもつ
触手のあいだに入り込み、触手がもがけばもがくほど、物体内部に向かって食い込ん
でいくのであった。

 ネットの縁には機体や地面と接続するためのアンカーが取り付けらており、1号機
と4号機はこれを拾うために接近した。

 「カンナ、アンカー拾った?」
 「拾った!、接続完了。準備オッケー!」
 「じゃあ行くよ。せえーのぉ!」

 「「「止まれーー!!」」」

 3機はネットにつながるアンカーロープをそれぞれの機体に接続し、いっせいに逆
噴射して物体の進行を止めようとした。

 「重いー!」
 「でかすぎー!」
 「んー、やっぱりパワー不足か」
 「とりあえず頑張れー!」
 「とりあえず頑張りましょう!」

 ほどなくしてキューティーバード3号、5号、6号、7号が合流した。すかさず
マイミの指示がとぶ。

 「よし!、サキはエリと交代、エリはもういっちょネット張って、アイリとマイが
  アンカー拾って!。チサトは物体の後ろからクランプしてみて」
 「「「「了解!」」」」

 物体の上方で、すでに展開しているネットのアンカーをキャッチし、それを接続し
たサキの3号機は、エリの2号機と役目を交代した。すぐにエリは次のネットを打ち
出し、それを物体の下方で待ち構えていたアイリの5号機、マイの7号機がネットの
アンカーと接続した。物体の先頭部には二重のネットが張られ、合計6機のキューテ
ィーバードが逆噴射してブレーキをかけた。

 物体の後方では、チサトの乗る6号機が、1本のアームを伸ばし、その先に取り付
けられた巨大なクランプで物体を挟み込もうとした。しかし、金属製の大型クランプ
は、物体の持つ触手の攻撃を受けてズタズタに砕かれ、それを挟み込むことはできな
かった。

 「マイミー、だめー。壊されたー、こいつすごいなー」
 「しょうがない。じゃあとりあえずネットのほうをつかまえて」

 逆噴射しながら、じっとレーダーを見つめていたサキが叫んだ。

 「物体の速度、落ちてきました!」
 「高度は?!」
 「高度は変化なし!」

再びマイミの指示が飛ぶ。

 「よし、チサトはアイリと交代して!、アイリは上から吊り下げ準備。みんなはもう
  ちょっと頑張れ!」

 「「「「「「了解」」」」」」

 アイリの5号機と接続していたアンカーを、チサトの6号機が引き継いで、物体の下
部前方のアンカーをつかまえると、まもなく物体の進行は空中で停止した。眼下にはレ
インボーブリッジが迫っていた。

 「あぶないあぶない。もうちょっとで『首都上空』じゃん」
 「よっしゃ。エリとチサトは海底にアンカー打ち込み。他は上空にまわって物体の
  再始動に備えて」

 「「「「「「了解」」」」」」

 「サキ、UFAからなんかある?」
 「UFAより通知『コンタクトをとれ』って」
 「さっきやったじゃ〜ん!!、どうしろっていうのよ〜。また動き出したら上陸され
  ちゃうよ?」

 物体は高度300mの空中で停止した状態を保っている。ネットがかかった部分では
あいかわらず触手がわさわさと伸縮を繰り返しているが、それ以上の動きは見られない。

 「「アンカー設置完了」」
 「了解。チサトは物体の前方で待機。エリは2番ペットとってきて、ちょっとイヤな
  予感がする。」
 「2番ペット?!、ホント?!」

●東京湾−羽田沖上空

 ネットに捕獲状態にされた物体は、とつぜんその形をゆがめ始めた。

 「な、なにー?!」
 「なんかモゾモゾしてるぅ〜!」
 「みんな気をつけて!」

 物体の背中にあたる中央部分から表面が割れて、中から別の物体が姿を見せる。

 「「「「だ、脱皮ー?!」」」」

 昆虫の脱皮のように、黒褐色の外皮が脱げ落ち、その中から姿をあらわしたのは
超大型の空中戦艦であった。

 「やばい!、バリア展開!!!」
 「どすこい!」

 警戒していたチサトの反応が一瞬早かったため、戦艦が首都に向けて放った一斉攻
撃は、すべてチサトが展開させたバリアではじかれた。

 「マイミ!、攻撃許可出た!」
 「あったりまえじゃん!。ここで沈めるよ!サキとあたしとで下っ腹からアッパーカ
  ット!。他は艦上爆撃で応戦して!、チサト、バリアの残り時間は?!」
 「あと45秒」
 「了解!」

 1号機と3号機はネットアンカーを切断し、戦艦の中央下部から同時に攻撃した。
「ナマコ」と呼ばれた外皮と違い、戦艦自体の装甲強度は弱く、その胴体がまんなか
から真っ二つに折れた。

 「外っかわだけ強かったんだね」
 「中はよわっちい」
 「ずっとナマコかぶってれば良かったのに」
 「まだだ、まだだよ!」
 「「「「え?!」」」」

 黒煙に包まれながら海上に落ちてゆく空中戦艦の中から、今度は巨大ロボットが
現れた。

 「次、来るよ!」
 「マイミすごーい!」
 「予想大当たりー!」
 「はいそこ喜んでない!、行くよ!」

 「キューティー!!」
 「マイミ!」
 「エリカ!」
 「サキ!」
 「カンナ!」
 「アイリ!」
 「チサト!」
 「マイ!」
 「7機揃って〜」

 「「「「「「「合体するぞい!!」」」」」」」

 7機の戦闘機は変形・合体して1体の巨大ロボットとなった。

「「「「「「「キューティーロボ!チョービジンダー!!」」」」」」」

 「ねえ、毎回思うんだけど、このネーミングだけ、失敗じゃね?」

 キューティーロボ「チョービジンダー」は、敵ロボットの前に立ちはだかった。両
者は空中で組み合ったあと、羽田空港の滑走路上に着地した。

 「エリ、サンプリング!」
 「サンプリング出た!、過去データあり!、『バリカン星人』、勝てるよ!」
 「ようし、いったれー!」
 
 「キューティーソーーーード!」
 「キューティーヨーヨーーー!」
 「キューティースピーーーン!」

 滑走路上での白兵戦は、キューティーロボが圧倒的に優勢だった。UFAデータベ
ースに過去のデータさえあれば、そのときの敵の戦闘パターンが自動的にダウンロー
ドされ、敵の手の内や攻撃パターンがすべて読めるからだ。おまけに「会心の一撃」
がでる確立も高くなる。数々の必殺技を繰り出して大ダメージを与え、いよいよとど
めをさそうとした瞬間、サキが叫んだ。

 「やばい!、N2反応!!」
 「オートマフィールド展開!!」

 敵ロボットはとどめを刺される前に自爆した。N2爆弾の強力な爆発力によって、
滑走路には大きな穴が開いた。キューティーロボは間一髪で「オートマフィールド」
を展開し、難を逃れた。どす黒い煙がもうもうとあがるその場所を見つめながら、エ
リカの千里眼が光った。

 「なんか逃げたよ?」
 「バリカン星人?、まったく迷惑なヤツだ」
 「殺しちゃっていいんでしょ?!」
 「いちおう『逮捕命令』でてるけどね」
 「しょうがない。合体解除。逃げた星人を囲んで!」

 「「「「「「「了解」」」」」」」

 7機のキューティーバードが合体を解き、滑走路を逃げ回るバリカン星人の行く手
を塞いだ。星人の周囲には捕獲用の電磁フィールドが張られ、7機の機体が着陸した。
そして、7人の「戦士」が姿を現す。ひさびさに全員で披露する「キメポーズ」の
コーナーだ。

 「キューティー1!、マイミ!」<<シャキィーーンッ!>>
 「キューティー2!、エリカ!」<<シュイィーーンッ!>>
 「キューティー3!、サキ!」<<キュフフフフフゥッ!>>
 「キューティー4!、カンナ!」<<ゴゴゴゴゴォーッ!>>
 「キューティー5!、アイリ!」<<キラァーーーンッ!>>
 「キューティー6!、チサト!」<<バリバリバリリッ!>>
 「キューティー7!、マイ!」<<ズドドドドドドーッ!>>

 「7人揃って〜」

 「「「「「「「キューティーセブン!!!」」」」」」」

 恒例のポーズが決まった。

「「「「「「「ようこそ!地球へ!!」」」」」」」

 「あなたをUFA罰則規定に基づき逮捕します」

 「お〜の〜れ〜!、キューティーセブンめぇ!」
 「あ、日本語しゃべった…」
 「分かるんだ…」
 「賢いね」

 「ものども!、であえ!であえ!!」
 「えっ!、なにそれ?!、時代劇ぃ?!」

 どこからともなく、全身を黒タイツに包んだ無数の戦闘員がわらわらと登場してき
て、7人を取り囲んだ。しかし、百戦錬磨のキューティーセブンにとって、そいつら
は所詮ザコ。敵ではない。

 マイミが「愛のムチ」を振り回すと2、3人の戦闘員が倒れ、エリカがイヤリング
型の爆弾を投げつけると4、5人の戦闘員が吹き飛び、サキがリモコンで命令すると
6、7人の戦闘員が同士討ちして倒れる。カンナが投げたブーメランは2、3人の戦
闘員をなぎ倒し、アイリが放った「エンジェルアロー」は4、5人の戦闘員を串刺し
にして昇天させた。チサトが大声を張り上げると、声の波動が7、8人の戦闘員の脳
波を狂わせ、マイがサングラスを外すと強烈なビームを発射して10人以上の戦闘員
を蒸発させた。

 「マイちゃんかっこいい!」
 「アイリもなかなかのもんだよ!」

 無数の戦闘員はあっというまに蹴散らされてしまい、屍の山を築いた。結果、残る
はバリカン星人ひとりだけになってしまった。

 「かくなるうえわぁ!」

 バリカン星人は背中から機関銃のような火器を取り出し、7人に向けて乱射した。
7人はマントを振りかざし、その銃弾をはじく。星人の攻撃がやんだ瞬間、すかさず
マイミが反応して、その奥歯が光り、星人の目の前に瞬間移動した。

 「こーのぉーやーろー!、えいっ!!」

 マイミが手刀を振り下ろすと「機関銃のような火器」は粉々に砕け散った。

 「な、なにいっ?!」

 バリカン星人はマイミの桁外れなパワーとスピードに驚き、今度はベルトに差して
いた刀のような武器を構えた。…が、

 「ムダムダムダムダァッ!!!!」

 マイミの鉄拳が、武器ともども星人を粉々に吹き飛ばしてしまった。

 「あーあ、マイミ、ま〜たやっちゃったよ」
 「まったく力の加減ってのを知らないんだから」
 「あ、ごめん…」

 こうして今日も、7人の少女によって、地球の平和は守られた…ような気がする。

おしまい
C-ute 7 Sisters Log Page Project
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