℃-ute七姉妹物語
501 名前:名探偵℃-ute 09 投稿日:2007/08/12(日) 22:10:49 kXicW1if0
一方捜査一課では何の手がかりも掴めないまま一週間が過ぎようとしていた、
矢島<まるで深海に潜り込んだサメだな、いきなり何の情報も示さなくなったな?>
吉良<変ですよね?あのサイトにもそれらしき返答も無いし、>
  <まさか!何かしらの収穫が見込めたので打ち切ったのでは?>
矢島<それは無いな!頭のイカレタエリートは自分の発言には自意識過剰な所がある!>
  <もし目的が完遂していても必ず七人の殺害を無理にでも果たそうとするから!>
吉良<もしかして・・・外部から何かしらの妨害を受けてるのでは?>
矢島<妨害?>吉良<そう!たとえば、、舞美ちゃん達とか・・・>
矢島<いくら家の娘たちが優秀だからって・・・あいつら!>
急に思い出したように捜査室を飛び出していく矢島総一郎、数日前・・・
早貴<パパ捜査の方は進んでる?>晩酌のビールを注ぎながら話しかける早貴、
矢島<早貴、この事件にお前達を巻き込むつもりはないよ、、>
早貴<うんっ、ちょっと気になって・・・>
リビングの向こうで早貴に手招きをしているエリカ以下矢島姉妹、
エリカ<ナッキー、パパに気ずかれるでしょ!>


スタンス開き過ぎてすいません・・・・
色々ネタを継ぎ足しながらなんでまとめ作業が、

502 名前:名探偵℃-ute 10 投稿日:2007/08/12(日) 22:16:28 kXicW1if0
舞<そうそうパパにばれたら台無しだって、>栞菜<早貴、何かあるんでしょ!>
早貴<ちょっと気になってるんだけど・・・>矢島姉妹一同<うんっうんっ・・・>
早貴がプロファイルした組織の性格と状況によって導き出された全貌を聞く姉妹、
舞美<んっ〜なんだろ、少しだけ辻褄が合ってきてない?>エリカ<だね!>
愛理<でも早貴の言うことが合っていれば、面白そうじゃな?>
千聖<よっしゃ〜燃えてきた〜>舞<もおっ〜千聖唾飛んでるから!>
舞美<でもね・・みんな気をつけて私達狙われてるから!>
  <私やエリカだけならいいけど・・・>エリカ<やっぱ入ってるんだ、私も・・・>
エリカ<千聖、舞、帰りは一緒に帰るんだよ、早貴、愛理、栞菜も一緒に行動!>
千聖<どんな奴が来るんだろ〜楽しみ〜!!>舞<千聖、まかせた!!!>
舞美<とにかく皆気をつけるように!>舞美以下<ハーイ!!>、
矢島<何を盛り上がってる?おまえらが七人揃って盛り上がると碌な事が・・・>
エリカ<それよりパパ、ビール注いであげるね>舞美<おつまいのえらまめ・・>
矢島<やっぱり怪しい・・・?>舞美<そっそんな事ないって!(笑)>
事件捜査ではするどい切り口が売りの矢島総一郎も娘達には甘甘であった、
時は戻って放課後の帰り道七人姉妹の背後に近ずく影が・・・


事項は近いうちに・・

503 名前:夏の夜の怪(30) 投稿日:2007/08/13(月) 00:23:19 NsxKndpC0
●AM00:00

 リビングには、一応おふとんを敷きなおしたけど、すでに寝ている舞ちゃん以外は、
横になる気がしなくて…。あ、でも愛理はちょっと眠そうかな。

 「ねえ、どう思う?」
 「どうって…、おかしいよね、明らかに…」
 「停電したり、クーラーがつかなかったり、『アレ』が2回も出てくるなんて…」
 「たぶんねえ、『2度あることは3度ある』と思うよ…」
 「それ、私も思った…」

 「「「「「「は〜あ…」」」」」」

 私たちはリビングのソファにくっついて座りながら、一緒になってため息をついた。
暑いんだけど、なんとなくくっついていたい…。たぶんみんな同じ思いだったんだろ
う。互いの汗が触れ合って、扇風機の風が当たると、なんとなくひんやりもする。

 舞ちゃんはあいかわらず静かに寝息を立てている。さっきの騒ぎで起きなかったの
は、よっぽど疲れているのか、神経が太いからなのか…。

 「ちょっとトイレ行ってくる」

 栞菜はまだ調子が悪いらしい、顔色が青いままだ。

 次にいつ「アイツ」が出てくるか分からない。これからそれぞれの部屋で寝ること
もできるけど、やっぱりクーラーがつかないままだと暑くて眠れるわけがない。リビ
ングで動いている扇風機は1台だけ、今はコレだけが「涼しさ」を提供してくれる唯
一の方法だ。


504 名前:夏の夜の怪(31) 投稿日:2007/08/13(月) 01:07:57 NsxKndpC0

 「まあ今となっては、目もさめちゃったけどね…」
 「たしかに…、オチオチ寝てられないってのもあるし…」
 「ふわぁ〜あ…」
 「愛理は寝ててもいいよ?」
 「ダイジョブ、起きてる…」
 「無理することもないからね」
 「千聖は?」
 「全然平気(笑)」
 「さてさて、どうしたものか…」
 「うーん…」

 ほんの少しの静寂のあと…。

 「きゃあーっ!」
 「「「「栞菜だっ!」」」」

 舞美ちゃんと千聖は急いでトイレに向かった。

●AM00:15

 栞菜がトイレから出てくると、なんと廊下のど真ん中、栞菜の目の前に「第3の敵」
が、ユラユラと触覚を揺らしながらこっちを見ているではないか。またも体長5cm
はあろうかという「ボスクラス」が、まるで栞菜を挑発しているかのように対面して
いる。栞菜は思わず悲鳴をあげた。

 「ダメダメダメダメこんなの!なんでこんなとこにいんのよ?!舞美ちゃん助けて
  千聖助けて助けて!!気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い!!イヤ!こっち見ない
  で見ないで見ないで!!!なんで私のこと見てんのよ!!いい加減にして気持ち
  悪い気持ち悪い気持ち悪いコワイコワイ!!コワイコワイコワイコワイ!!!…」


505 名前:夏の夜の怪(32) 投稿日:2007/08/13(月) 01:12:12 NsxKndpC0

 「(ぷちっ…)」

 <バシバシバシィッッ!!>

 何かが栞菜の中で切れた。そして反射的に、履いていたスリッパを手に持ち替え、
それで「敵」を1発、2発、3発と叩いた。まるで「窮鼠(きゅうそ)ネコを噛む」
のねずみのような、予想外、そして瞬時の反撃に、「敵」は逃げることも、身動き
することもなく絶命した。

 「栞菜っ!」

 舞美ちゃんと千聖がトイレに駆けつけたとき、栞菜は床にへたりこみ、その目の前
には、ペチャンコにつぶれ、変わり果てた「敵」の姿があった。

 「もう…、怒った…」

 ゆっくりと立ち上がった栞菜の両目には、うっすらと涙が、そしてその奥にはメラ
メラと炎が燃え盛っていた。今始末したばかりの「敵」の残骸をトイレットペーパー
で包んでつかみ、そのままトイレに流した。

 「栞菜、大丈夫?」
 「かんな〜?」
 「大丈夫。ちょっとコンビニ行ってくる」

 そういうと栞菜は自分の部屋へ行き、服を着替えて出て行ってしまった。なにかを
思いつめたような強い視線に圧倒されて、舞美ちゃんも千聖も、ただ呆然と栞菜の姿
を見送るしかできなかった。そして二人はリビングに帰ってきた。


506 名前:夏の夜の怪(33) 投稿日:2007/08/13(月) 01:17:46 NsxKndpC0

 「栞菜、どうしたの?」
 「わかんない。『もう怒った』って…」
 「コンビニに行っちゃった」

●AM00:30

 栞菜がリビングに帰ってきた。

 「これを手分けして仕掛けよう」

 栞菜がコンビニで買ってきたのは、殺虫スプレーが3本と、ホイホイハウス(3個
入り)が3セットだった。

 「こんなに買ってきたの?」
 「っていうか、コンビニにはこれしか置いてなかったの。ホントはバ○サンも買って
  こようと思ってたんだけど、売ってなかった」
 「まあバ○サンは昼間やればいいんだし、とりあえずは今晩をしのげればOKよね」
 「よし、じゃ、仕掛けを仕掛けよう(笑)」

 みんなで手分けしてホイホイハウスを組み立て、キッチンを中心にして配置してい
くことにした。えりかちゃんはシンクと冷蔵庫の周辺に3個、舞美ちゃんはキッチン
のそのほかの場所に3個、私はリビングの周辺に3個、「ヤツら」が通りそうな場所
を選んで置いていく。

 愛理が適当な場所を探しながら、テレビの裏をのぞいていたら、小さな黒い豆のよ
うなものがポトリと落ちていた。


507 名前:夏の夜の怪(34) 投稿日:2007/08/13(月) 01:19:57 NsxKndpC0

 「???…、なっきー、なんだろこれ?」
 「んー、な〜に〜」
 「ほら、このマメみたいの」
 「わっ!、さわっちゃダメッ!!」

 愛理は「ヤツら」の卵を知らなかった。確かに小豆(アズキ)に似ていて間違えや
すいのだけど、こんな場所に小豆なんて落ちているはずがない。私は図鑑の写真で見
たことはある(見れば見るほどグロテスクだったのはハッキリと覚えている)けれど、
実物を見たのは初めてだった。ということは、ここも「ヤツら」の通り道になってい
たということか。

 愛理は「それ」が卵だということを知ってしまったこと、「それ」を見てしまった
こと、そして「それ」をあと少しのところで触ろうとしていたことにショックを受け、
固まってしまった。

 私は千聖にお願いして、「それ」をティッシュに包んでトイレに捨ててもらった。
そしてテレビの裏側にホイホイハウスを置いた。


508 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2007/08/13(月) 08:34:33 HVYUieDpO
栞菜の気持ちがよくわかる!
奴を見かけると周辺にホイホイの結界を作らないと安心出来ないんだよ

509 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/08/13(月) 19:39:29 c0JzYXto0
乙です!栞菜はキレたらとことんやりそうw
しかし黒糖パンを食べながら見るもんじゃなかったな・・・_| ̄|○

510 名前:夏の夜の怪(35) 投稿日:2007/08/13(月) 23:03:34 NsxKndpC0
●AM01:00

 「とりあえずこれでリビングは安心でしょう」
 「やっと眠れる…かな」
 「まあ眠れる気もしないけどね」
 「まあね、たしかに」
 「あたし、結構眠い…」
 「愛理、寝ていいよ。舞ちゃんのとなりに寝な」
 「うん、おやすみ」

 「ねえ、あれ…」

 栞菜が庭のほうを指さした。みんなの視線が庭に向くと、そこにはさっきのネコが、
両方の前足を揃えて座り、じっとこっちを見ていた。そしてゆっくりと歩き出し、ど
こかへ行ってしまった。

 「なんだろ…」
 「なんだかすごく気味悪いね」

●AM01:30

 舞ちゃんと愛理をのぞいて、眠気が覚めてしまったわたしたちは、やっぱりソファ
に固まって座りながら、テレビの深夜番組をぼーっと眺めていた。寝ている子たちに
は悪いけど、部屋は明るいままにしている。次にまた「ヤツら」が現れないかどうか、
分からなかったから…。

 テレビからは陽気な、そして騒々しい音がしているけれど、見ている私たちの周囲
には、空虚でシラケた、微妙な空気が流れていた。


511 名前:夏の夜の怪(36) 投稿日:2007/08/13(月) 23:08:13 NsxKndpC0

 「ねえ、聞こえた?」
 「え?、なに?」
 「あー、空耳であってほしいんだけど…」
 「なんのこと?」

 <カサカサ…>

 「あ…」
 「…聞こえた」
 「わたしも…」
 「もうイヤ…、こんなの…」
 「千聖、行くよ」

 なにかが、もがいているような、その乾いた音は、キッチンのほうから聞こえてく
る。きっと「ヤツ」だ。「第4の敵」だ。舞美ちゃんと千聖がすっと立ち上がり、
スリッパとハエタタキを持って、そろりそろりとキッチンへ向かう。

 「私も行く…」
 「栞菜?、大丈夫なの?」
 「うん、もうアイツらには負けない。もう全然怖くないから」

 栞菜はトイレの前で「ヤツ」とのタイマン勝負に勝ってから、恐怖感を克服したよ
うだ。なにかの決意にみなぎったような目が、それを物語っていた。

 「栞菜、かっこいい!」
 「まあね。今まで舞美ちゃんや千聖にずいぶん頼ってたけど、もう大丈夫だよ」

 栞菜も丸めた新聞紙を手にして、二人のあとに続いた。


512 名前:夏の夜の怪(37) 投稿日:2007/08/13(月) 23:13:07 NsxKndpC0

 キッチンの明かりをつける瞬間、3人は身構えたけど、何も起こらなかった。そし
てあいかわらず「音」は、シンクの方から聞こえてくる。「特攻隊」メンバーでいち
ばん背の高い舞美ちゃんが、おそるおそるシンクの中をのぞく…。

 「音」はなおも聞こえている。すると、舞美ちゃんはシンクから目を離すことなく
二人にVサインをしてみせた。

 「?」
 「舞美ちゃん、なに?」

 千聖が小声でたずねた。

 「2匹いる。栞菜、スプレー持ってきて」
 「はい」

 「第4の敵」は、なぜかシンクの中で2匹がもがきあっているようだ。狭いから、
叩いても確実に当たる可能性が低いし、どちらかに逃げられてしまうかもしれない。
シンクの中に向けてなら、スプレーしてもあとで洗い流せる。舞美ちゃんの判断は冷
静だった。

 栞菜はリビングから殺虫スプレーを持ってきて、舞美ちゃんに手渡した。

 「千聖、ドア閉めといて」
 「うん」

 さっきのようにリビングに飛び込まれては、またパニックになってしまうから、
あらかじめドアを閉めておく。そして舞美ちゃんはスプレーを高い位置から噴射する
ように構えた。


513 名前:夏の夜の怪(38) 投稿日:2007/08/13(月) 23:18:19 NsxKndpC0

 「いい?、いくよ?。逃げたらすぐに叩いてね」
 「はい」
 「おーけー」

 スプレーを構える舞美ちゃんの両脇で、栞菜と千聖がそれぞれの「武器」を構えた。
一瞬の静寂のあと、舞美ちゃんはスプレーを噴射した。

 <プシューーッ!>
 <ガサガサガサガサッ!>

 さっきよりも激しい「音」がしだした。栞菜と千聖は「ヤツら」が飛び出してくる
のを警戒していたけど、どうやらシンクの中をひたすら走り回っているようだ。やが
てその「音」は小さくなり、動きも完全に止まった。「敵」2匹はシンクの中で絶命
した。

 「ほっ」
 「よかったあ、ここだけで済んで」
 「しかしこれは『ザコ』だね」

 シンクの中に横たわっている死骸は、それぞれ体長2cmほどの「ザコクラス」で
あった。舞美ちゃんはそれらをティッシュペーパーで包み、トイレに流した。

 「今日、あと何回トイレ流すんだろ…」

 どう考えてもありえない異常な状況に、さすがの舞美ちゃんも怖さがこみ上げてく
るような気がした。


514 名前:夏の夜の怪(39) 投稿日:2007/08/13(月) 23:23:49 NsxKndpC0

 「ねえ、なっきー、コレ…」
 「なに?、ネコの、毛?」

 それは、白い毛と黒い毛の混じった、ネコの毛の小さな固まりだった。えりかちゃ
んはリビングにいるみんなに聞こえるようにたずねた。

 「だれか、あのネコに触った人いる?」
 「え?、さっきの〜?」
 「触ってないよ〜」
 「だれも触ってないでしょ?、たぶん舞ちゃんも…」
 「じゃあ、なんであのネコの毛がここに落ちてんの?」
 「うそ?!」
 「キッチンに?!」

 「(あのネコ、ここに入ってきたってこと?)」

 えりかちゃんは、なにかイヤな予感がしたけど、それ以上考えたくはなかった。
この毛があのネコのものだとハッキリしているわけではないし、ただの勘違いかもし
れない。もし本当だとしても、もっと怖いほうにしか考えがいきそうになかったから。


515 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2007/08/14(火) 11:43:34 /qTkpjqhO
想像していると鳥肌が…

516 名前:夏の夜の怪(40) 投稿日:2007/08/14(火) 22:52:48 vnOOsKWl0
●AM02:00

 ふたたびみんなソファの上に集合。舞美ちゃん、えりかちゃん、私、栞菜、そして
千聖は、やっぱり「ひとかたまり」になって、深夜番組をぼーっと眺めている。

 「なんか…、おなか減ってきちゃったね」
 「あ、そうかも」
 「でも、夜中に食べると太るよ?」
 「そ、それも、そうだ…ね」

 「でもさ、みんな体力と神経、けっこう使ったんじゃない?」
 「うん、それもそうだ」
 「けっこう声も出したし(笑)」
 「甘い麦茶でも作ろうか?」
 「あ、それいい。賛成!」

 えりかちゃんが砂糖入りの「甘い麦茶」を作ってくれて、みんなでそれを飲んだ。
涼しくなるし、なんだかなつかしい味。

 「おはよ」
 「あれ?、舞ちゃん、まだ朝じゃないよ?」
 「まだ寝てていいんだよ?」
 「んー、…起きた」
 「舞ちゃん明日ラジオ体操でしょ、寝てたほうがいいよ」
 「なんかね、起きちゃった」
 「そう?、あんまり無理しちゃダメだよ」

 今は「非常事態」だから、誰も舞ちゃんを無理に寝かせようとは思わなかった。そ
れで舞ちゃんにも「甘い麦茶」を飲ませたら、すっかり目がさめたようだ。


517 名前:夏の夜の怪(41) 投稿日:2007/08/14(火) 22:57:26 vnOOsKWl0
●AM02:15

 <ガラガラガシャン!>

 「今度はなに?」
 「天井裏だ…」
 「荷物が崩れたんじゃない?」
 「千聖、花火とりに行ったとき、なんかした?」
 「いや、なんにもしてないよ?」
 「とりあえず見に行かないと、安心できないよなあ…」
 「イヤだなあ、行きたくないなあ」
 「しょうがないじゃん、行くしかない。荷物が崩れただけなら、それはそれで安心
  でしょ?、ね」
 「『ね。』って、舞美ちゃんはポジティブだなあ」

 舞美ちゃんはタオルを頭に巻き、マスクをして戦闘準備を整えた。栞菜と千聖も同
じようにして、舞美ちゃんと同じ格好になった。

 「あづい…」
 「これは夏の格好じゃないね」
 「ガマン大会イエーイ!」
 「えり、これ終わったら、また麦茶飲みたいかも」
 「分かった、作っておくよ」
 「いってらっしゃい」

 天井裏には入口のフタを開けて、そこにハシゴを吊るすように取り付けてのぼる。
舞美ちゃんがフタを開けると、コロコロと小さな豆のようなものと、パラパラとした
砂のようなものが落ちてきた。


518 名前:夏の夜の怪(42) 投稿日:2007/08/14(火) 23:06:43 vnOOsKWl0

 「うわ!、なにこれ?!」

 「信じたくない…」
 「卵?」
 「と、フン?」
 「たぶんね。もう巣になってるのかも」
 「花火をとりに来たときには、全然わかんなかったよ?」
 「なんでだろうね?、ちょっとヘンだよ…。昨日の停電からなのかな。千聖、床を
  掃除してくれる?」
 「私がやるよ。千聖は舞美ちゃんを手伝って」

 栞菜はホウキとチリトリを持ってきて、散らばった「卵」と「フン」を片付けた。

 「ねえ、なんか『おしょうゆ』のニオイがしない?」
 「え?、どれどれ?」
 「ほんとだ、なんか『おしょうゆ』のニオイだ。天井裏?」
 「上に『おしょうゆ』なんて置いてあったっけ?」
 「ないない」

 舞美ちゃんと千聖はハシゴをとりつけ、舞美ちゃんが懐中電灯を持って、ゆっくり
とのぼる。

 <カサカサ…>

 やはりなにか(たぶん「ヤツら」、それも一匹ではなさそう)が動いているような
音がする。舞美ちゃんはおそるおそる、慎重に中をのぞいた。


519 名前:夏の夜の怪(43) 投稿日:2007/08/14(火) 23:27:49 vnOOsKWl0

 「いるかな〜。あ、いるわ。あ〜いたいた。ってか…うわっ!!」
 「どうしたの?!、大丈夫?!」

 舞美ちゃんは慌ててハシゴを降りた。というよりは、向き直って飛び降りた。

 「やばい!、ずいぶんいっぱいいる!、信じらんない!、なんであんなにたくさん
  いるの?!」
 「どんなんなってた?!」
 「あのね、中に『おせんべい』の缶があって、あれ、確かお正月に置いたまま忘れ
  てたヤツだね。それが倒れてた。で、こぼれた『おせんべい』に、アイツらが群
  がってんの!、20匹くらいいたかも。ちょっと怖すぎ!」

 「見ていい?」
 「いいけど、見ないほうがいいと思うよ」

 好奇心のかたまりの千聖は、舞美ちゃんから懐中電灯を受け取り、ハシゴをのぼっ
てのぞき込んだ。

 「うわっ!!、これすごいわ。こんなの愛理が見たら死んじゃうかも…」

 千聖は「おせんべい」の缶の中に、なにか別の黒いものがうごめいているのを見つ
けた。

 「舞美ちゃん…」
 「なに?」


520 名前:夏の夜の怪(44) 投稿日:2007/08/14(火) 23:32:40 vnOOsKWl0

 「信じられないくらいでっかいのがいる…」
 「え?」

 千聖は舞美ちゃんを手招きした。もう一度舞美ちゃんは交代して、懐中電灯で天井
裏をのぞいた。『おせんべい』の缶の中から出てきたのは、体長12cmはあろうか
という、今までに見たこともないような「大ボスクラス」だった。

 「うわ、これは私でも死にそうだわ…」
 「なんか感動するね。あれだけ大きいと…」
 「とりあえず、いったん撤退して、作戦を立て直そう」

 舞美ちゃんたちはハシゴをはずして入口のフタを閉じ、リビングに戻ってきた。

●AM02:30

 さっきまで寝ていた愛理も起きてきて、リビングは全員参加の作戦会議となった。

 えりか:「もうさあ、天井裏は明日、バ○サンすればいいじゃん?」
  舞美:「でも、昨日まで全然いなかったのが、突然あんなに増えてんだよ?、
      おかしいと思わない?、今夜じゅうに退治したほうがいいと思う」
 えりか:「そんなこといったって、たくさんいるのを、全部叩き潰すつもり?」
  舞美:「そりゃあ…」
 えりか:「根性で?」
  舞美:「うん…」
  栞菜:「大変だよ。天井裏は狭いから、舞美ちゃんひとりだけ頑張ることになる
      かもしれない」
  舞美:「それは…、仕方ないじゃん」
  千聖:「ダメだよそんなの!、舞美ちゃん死んじゃうかもしれない!」
  舞美:「それはない。ってか殺すな」


521 名前:夏の夜の怪(45) 投稿日:2007/08/14(火) 23:38:58 vnOOsKWl0

  早貴:「ねえ、天井裏だったら、スプレーまいても大丈夫でしょ?」
  舞美:「大丈夫だけど、まいたとたんにパニックになるよ?」
  栞菜:「それは叩いたって同じだよね」
   舞:「うん、同じだ」
  早貴:「遠隔操作すればいいじゃん」

 「「「「「「遠隔操作?」」」」」」

 ここで、なっきーの工作教室〜♪

 「こうやってスプレー缶を、それぞれ外を向くように3つ束ねて…」
 「ガムテープでぐるぐる巻いて…」
 「次にソフトボールにひもを巻いて…」
 「ひもが外れないようにガムテープをはって…」
 「ひもを缶の真ん中のすきまにたらしながらボールをのせる…」
 「こうやって、下からひもを引っ張れば…」

 <<<プシューーッ!>>>

 3本の缶から同時にスプレーが噴射された。

 「すっごーい!」
 「なっきー天才!!」
 「なんでこんなの作れんの?、頭よすぎぃ!」
 「ちょっと安定性がないから、下にダンボール付けて固定したほうがいいかな。
  これを天井裏に置いて、フタを閉めてから噴射すればオッケーでしょ?」

 「「「「「「すごーい!」」」」」」


522 名前:夏の夜の怪(46) 投稿日:2007/08/14(火) 23:43:48 vnOOsKWl0

 私たちは、さっそく作戦を実行に移すことにした。

 「ちょっと待って!」
 「ん?、どしたの?、なっきー」

  早貴:「問題はスプレーを噴射したあとでしょ。天井裏にはたくさんの死骸が残
      ることになるし、もしかしたら、どこかのスキマから逃げ出してくるか
      もしれないじゃない?」
  舞美:「そうだね。どこから入ってきたかも分からないんだから、どこから出て
      くるかも分からないね」
  栞菜:「じゃあスプレー発射と同時に、みんな『戦闘準備』ができていないとダ
      メなんだね」
 えりか:「私となっきーと愛理と舞ちゃんは、とりあえずココが一番安全なのかな?」
  千聖:「でも頭にタオル巻いておいたほうがいいよ。『敵』は上にいるから」
  舞美:「よし、それじゃあ、身支度も整えよう!」

 「「「「「「オーーーッ!」」」」」」


523 名前:作B ◆SAKubqyuTo 投稿日:2007/08/15(水) 00:11:08 Lvd/hCEW0
ども、今回の更新はここまでです。

 ベリの座間公演を見てきました。℃-uteの活動が本格化してきて、ベリは
どういう方向に進んでいくんだろうと考えたりもしていましたが、ある意味正常
進化の、そして充実したパフォーマンスでしたね。個々の個性はいくぶん分散
平滑化したような気もしますが、逆に全員攻撃で攻めてくる感じです。
まだまだベリは負けてないw。

 さて、本編ですが、いよいよ戦況もハイライトが近づいてきました。汗と涙と
悲鳴の大乱戦をご期待ください(ウソです)。

>>499
 実は自分もコイツは大の苦手でして、自分で書いてて「うわー、イヤだな
これぇ〜」とか思ってたり…w。

>>500
 このキャラはちょっと難しいですね。「女帝」(ある意味策士w)が、飲酒を
見つかって謹慎というのは、ちょっと情けないかなw。

>>501,502
 スタンス(スパン?)とか気にせずに、マイペースで行きましょうw。人に
よっていろいろな「書き方」がありますから。ただ、あんまり欲張りすぎると、
自分でも飽きてしまうかもしれないので、気をつけてくださいね。

>>508,509
 実は栞菜って、自分的に感情移入がしづらくて、物語がなかなか浮かばな
かったんです。ただ「負けず嫌い」ってキーワードをたよりにしたら、うまく
ストーリーに絡んでくれました。

 引き続きみなさんのツッコミをお待ちしております。。。

524 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/08/15(水) 00:14:19 gjuSUFH10
リロードしまくりで追っかけてました!!乙です!!
なっきーの工作教室笑いましたよww

525 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/08/15(水) 01:29:00 SWBFars40
今日も乙です

>えりか:「もうさあ、天井裏は明日、バ○サンすればいいじゃん?」
> 舞美:「でも、昨日まで全然いなかったのが、突然あんなに増えてんだよ?、
>     おかしいと思わない?、今夜じゅうに退治したほうがいいと思う」
>えりか:「そんなこといったって、たくさんいるのを、全部叩き潰すつもり?」
> 舞美:「そりゃあ…」

この会話形式(〇〇:「 」って表示の仕方)見やすいし読みやすくていいなあ
そのうち真似しようかな。
七人全員が会話しだすと小説形式じゃ描写しきれないんですよね…

526 名前:超にょう力 1 投稿日:2007/08/15(水) 03:07:33 SWBFars40
 栞菜:「ただいまー、ねえそこでスーパーに行く途中のえりかちゃんにあっちゃった。
     今日の御飯は特製カレーだってさ!」
 早貴:「今日こそは失敗しないようにって言ってたよお、
     ……ってみんな何してるの?」

 ある日の夕方、栞菜とナッキ―が帰宅すると、キッチンでは愛理と千聖とマイが
スプーンを睨んで真剣に何かをやっていた。

 愛理:「えへへへへ、スプーン曲げ」
 マイ:「あのねえ、誰が最初にスプーン曲げられるか競争してるの」
 早貴:「……ちょっと、そんなことできる訳ないじゃん」
 千聖:「でもさあ、でもさあ、うちの中に誰か超にょう力者がいるんだよ」
 マイ:「超【能】力!!」
 千聖:「そう、その超にょう力者がいるんだって、ほら、このスプーン見てよ。
     これさっきキッチンで見つけたんだよ!!」

 千聖はグニャリとほぼ真っ二つに折れ曲がったスプーンを取り出して見せた。

 栞菜:「あ、それさあ、超能力じゃないよ。
     舞美ちゃんが手で曲げたの、こーやって力入れて」

 ……カラン!

 あ然とした表情の愛理、千聖、マイに、床に落ちたスプーンの音が響いた。

 愛理:「……でもさ、あたし給食の時間にやったら曲がったことあったよ!?
     あの時はビックリしちゃったよ!!」

 カッパの存在を信じている、超常現象大好きの愛理が言った。

527 名前:超にょう力 2 投稿日:2007/08/15(水) 03:11:32 SWBFars40

 千聖:「アピってますアピってます」
 愛理:「だって本当だもん!」
 早貴:「もう、何でそんなに真剣なのよ」
 マイ:「だってねえ、先にスプーン曲げられた人がこの先一週間
     みんなのおやつ独り占めできるって決めたんだもん」
 栞菜:「アタシもやるッ!!」
 早貴:「……ちょっと、もう栞菜まで!」

  『曲がれ曲がれ曲がれ……』

 スプーンを持ち、思い思いの方法でスプーンに呪文をかけ始めた四人に
あきれてナッキ―が言った。

 早貴:「だいいちそんなやり方じゃ曲がらないよ。スプーン曲げってのは
     本来は手を使わずに、意識を曲げたい所に集中させて『曲がれ!!』って
     念じるのよ、こうやって……」
 千聖:「できる訳ないじゃんって言ってたくせに」
 愛理:「そうだよ、何でそんなやり方とか知ってるのヨ」
 早貴:「別にいいジャン!もう、こうなったらアタシがおやつ一週間分
     横取りしてやるんだから」

528 名前:超にょう力 3 投稿日:2007/08/15(水) 03:12:31 SWBFars40

 こうして実は姉妹一の負けず嫌いナッキ―の闘志に火がつき、
おバカな五人の念がキッチンに響きわたった。

  『曲がれ曲がれ曲がれ曲がれ曲がれ曲がれ……』


 えり:「ただいまー、ごめんね遅くなって。すぐ御飯の用意するからねー」

 帰宅したえりかの声に、手にしっかりとスプーンを握り、眉間に皺を寄せた真剣な表情の
五人が振り返った。

 えり:「うっそ!あんた達そんなにアタシのカレーが待ちきれなかったの?
     うっれしー!!」

   おわり

529 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/08/15(水) 03:19:59 SWBFars40
さっそく作Bさんの真似して即席になんか書いてみました。…やってみたかったんですスイマセン。
しかもくだらないけネタだけど。
昔、他所で書いたオチのまんま焼き直しなんだけどいいよね、素人だし…。

ちゃんとした話もそのうち書きますので。プロット苦戦中なんス…。

530 名前:松輝夫 投稿日:2007/08/15(水) 04:00:26 dk33FH6zO
>>523
乙です。
自分も、何日か前にヤツに遭遇しまして、五時間くらいバトルしてようやく撃破しました。ホントウザいですね。
とにかく落とすことしか考えてなかったので、窓も開けずに殺虫剤撒いたおかげでしばらく鼻がヒリヒリ……。

ベリ紺乙です。自分は翌日参戦予定です。
セットリスト見たんですけど、少し不満もありかも……個人的には、キャプテンとみやの「スプリンター!」を早くライブで聴いてみたいです。

自分は10年隊の開幕昼夜参戦してきました。懐かしい曲が多く、歴史を感じちゃいましたね。
夜はなっちとかおりんの誕生日を会場全体でお祝いしました。また、だからというわけではないでしょうが、現娘。たちがきてましたね。

531 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/08/15(水) 11:53:58 /LZzC20h0
>グニャリとほぼ真っ二つに折れ曲がったスプーン

って変だよなあと自己ツッコミ
まるでリアル鬼ごっこの人みたいだorz
文章力の無い人間は書いたあと絶対読み返さないとあかんスね…


>『梅の花の咲く頃に』
の人はもう来ないのかなあ?作品好きなんでまた読みたいなあ


532 名前:作B ◆SAKubqyuTo 投稿日:2007/08/15(水) 23:15:15 Lvd/hCEW0
ども、帰ってくると、部屋が暑くて死にそうですw。

 えーと、本日更新を予定していたテキストデータを、某所に置き忘れて
きてしまいまして、今晩はアップできなくなってしまいました。もしかして
楽しみにしていた方がいらっしゃいましたら、申し訳ありません。

 で、といってはなんですが、本編終了後にアップしようと思っていた
ヨタ話を何本か、このレス以降に投稿しようかと思います。

 まあヨタ話なんで、「ふーん、こんなバカなこと考えながら書いてんだ」
ぐらいに思いながら読んでいただければ幸いです。

>>524
♪「でっ、きるっ、かなで、っきるっ、かな…ハテハテムム〜」

 なんて脳内BGMをかけながら、なんてね。

>>529
 さっそく採用していただき、光栄です。ってか仕事が早い!
さりげなくネタも拾っていただいちゃったりして、こうして広がって
いくのも、面白いですね。

>>530
 CDでもそうですけど、「いちについて!」の部分はあっという間
なので、お見逃しなきようw。私はゆりちなまぁずのフリが面白
かったですね。


でわでわ、引き続きみなさんのツッコミをお待ちしております。


533 名前:作B ◆SAKubqyuTo 投稿日:2007/08/15(水) 23:20:39 Lvd/hCEW0
●ヨタ話 −−「ヤツら」について−−

 実は本編の執筆にあたり、「ヤツら」の生態に関しては、テーマイメージソングの
歌詞と、筆者が蓄積していたパブリックイメージのみを拠り所としていたため、とこ
ろどころおかしな記述があることが判明しました。ちゃんと Wikipedia で調べてから
書けばよかったかな…とも後悔していますが、ストーリーの展開上、事実と多少違っ
ていても、まあしょうがないかなとも思ったり。だってねえ…w。

 例えば本編では体長12cmの「大ボス」が登場しますが、この大きさは日本では、
ペットとして輸入されたものを除き、ありえないようです。最大でも5cmほどとの
こと。

 また、>>496 ではグルグルと部屋の中を飛び回っていますが、ヤツらの羽は構造的
に貧弱で、直線的に、しかも短距離しか飛べないとのことです。ジャンプして滑空す
るイメージでしょうか。まあたしかに、夜の街灯のまわりをブンブンとヤツらが飛び
回っていたりしたら、そっちのほうがイヤですもんね。

 世界的には、「ヤツら」を害虫として見る国は、実は少ないという話は、結構意外
でしたね。


534 名前:作B ◆SAKubqyuTo 投稿日:2007/08/15(水) 23:28:11 Lvd/hCEW0
●ヨタ話 −−イメージソングについて−−

 私のこれまでの投稿作品のおおかたがそうなんですが、テーマとなるイメージソン
グを決めて、それをバックボーンにしながらストーリーを作っていってます。

 自画自賛で恐縮ですけど、「負けないで」のラストシーン >>340 で、3人が手を
振っているところをカメラが俯瞰しているのをイメージしてみてください。ここで
「わっきゃない(Z)」のイントロがかぶさってくると、最高にカッコいいと思いません?
(思わない?、こりゃまた失礼しました)。

 そんなふうに、曲のイメージとストーリーの一部分を重ねてみたり、歌詞の一部を
引用してシーンを作ってみたりと、イメージソングを使うと結構ラクに創作活動がで
きちゃいます。まあ私の場合、書いているあいだじゅう、延々と脳内にその曲が流れ
てたりするんですけどね。

 また、ほとんどの℃-uteの楽曲は、℃-uteのメンバーや、ユニットとしての彼女た
ちからインスパイアされて作られたもの(だと信じてますw)なので、フィット率も
抜群です。その点はつんく♂に感謝ですね。

 つんく♂の楽曲も1000曲を越えていますから、これらから適当にピックアップ
して、℃-uteメンバーに当てはめてみるのも、面白いかもしれません。

 こんな感じですかね。これらは、あくまでも私が使っている手法を参考例として
紹介しただけであって、決して他の皆さんに「こうしろ」と強制するつもりのもの
ではありませんので、ご了承ください。


535 名前:作B ◆SAKubqyuTo 投稿日:2007/08/15(水) 23:35:26 Lvd/hCEW0
●ヨタ話 −−設定について−−

 七姉妹の設定がゆるいというのは、これはもう自由に色がつけられるぶん、感謝!
感謝!というしかありません。で、私としては、このゆるい設定を、できるだけゆる
い、つまり自由度の高いまま維持して、作品を重ねていくことができれば…、と思い
つつ書いたりしています。

 どういうことかというと、姉妹の家の具体的な住所を限定しないとか、家のトイレ
やリビングの位置関係を明らかにしないとか…ですね。つまんないことですけどw。

 とりあえず今まで私が書いた中では、七姉妹の家が2階建てなのか、平屋なのかは
明示していません。姉妹それぞれの部屋が出てきますが、1人にひとつの部屋なのか、
それとも何人かでひとつの部屋を共有しているのかは明らかにしていません。

 やはりストーリーの展開によっては、そういう設定の縛りが増えていくのは仕方の
ないことなので、それはそれで、他は最小限にしよう…とか考えながら書いていたり
します。

 「みずいろの物語」では、どうしても「舞美お嬢様」を実現したかったので、どう
しようかいろいろと考えました。学芸会のシナリオだとか、舞美だけどっかにステイ
したときの話とか…、でも、舞美の性格ごと変える必要があったので、なっきーの小
説という手段を使ったのは、我ながら会心の一撃だったと思っていますw。

 こんな感じですかね。これらは、あくまでも私が使っている手法を参考例として
紹介しただけであって、決して他の皆さんに「こうしろ」と強制するつもりのもの
ではありませんので、ご了承ください。


536 名前:作B ◆SAKubqyuTo 投稿日:2007/08/15(水) 23:45:04 Lvd/hCEW0
●ヨタ話 −−セリフについて−−

 特に七姉妹小説では、必然的に「誰が、どうした」の説明が頻繁に出てきやすく
なり、読む側はそれだけで煩雑さを感じることがあるかもしれません。二人しか会話
していない場面なら、語り出しが誰かだけを説明して、あとは交互にしゃべらせること
で回避できますが、七姉妹は団らんなど、同時に3人以上が話す場面も多く、ツッコミ
もけっこう激しいので、やはり工夫が必要になります。

 そのひとつが >>520 でやったようなシナリオ形式の書き方ですが、全編にわたっ
てコレをやると、やはり「シナリオ的」になってしまうんですね。情景や心情の描写
がしづらいんです。なので私は場面を選び、アクセント的に使うようにしています。

 セリフ中に「誰が」のヒントとなるキーワードを含める、というのも、ファン小説
ならではの手法かもしれません。以下は、過去に使ったこともあるセリフの一例です。

 舞美:「とか言って」「いいんじゃない?」
えりか:「ですわ」「〜じゃん?」
 早貴:「キュフフ」「ケロ」「ちょっと待って」
 栞菜:「〜祭」「〜魂」「だすけど」
 愛理:「ケッケッケッ」
 千聖:「ジャジャーン」
  舞:「ぱこーっ」「う゛〜っ」「あのね」「ねえねえ」

 もうひとつ、これは私は結構意図的に使っていますが、誰が話しているのかを「あ
えて限定せず」、読者の判断に任せてしまう、という手法があります。いくぶん汎用
的な言葉遣いで、読者が感じ取る雰囲気から、しゃべらせたいキャラクターを自由に
あてがってもらう、というやり方は、ファン小説ならではの手法といえるかもしれません。

 こんな感じですかね。これらは、あくまでも私が使っている手法を参考例として
紹介しただけであって、決して他の皆さんに「こうしろ」と強制するつもりのもの
ではありませんので、ご了承ください。

537 名前:作B ◆SAKubqyuTo 投稿日:2007/08/15(水) 23:50:45 Lvd/hCEW0
●ヨタ話 −−記号と空行について−−

 小説は文字だけで情報を伝達する以上、記号の使い方も、工夫次第で効果的な情報
伝達手段となります。下記は私の使っている、あくまでも一例ですが…。

 「ふつうのセリフ『セリフ中の固有名詞など』」
 「…」 ←沈黙
 「「「「同じセリフを複数人が発するとき」」」」
 「(心の中のセリフ)」
 「<電話の向こうのセリフ>」
 ♪「歌や歌詞」
 <物音や効果音>
 −−場面や展開の説明−−

 また、(笑)や「w」などの笑い表現、そして顔文字(^^;なども、表現の補助として
使えます。私はまだ使ってませんけど、一行AAなども、2chならではの表現手段と
して有効ですよね。

 一方、文字や記号とは反対に空白や空行も、場面の転換や、時間の経過を表現する
のに重要なアイテムとなります。2chでは1回の投稿に字数、行数の制限があります
から、あまり一度に多くを使うのは気が引けてしまいますけどね。

 あと、情景描写や、一連のセリフの固まりで、行数が多くなってしまった場合に、
見やすさ(読みやすさ)を確保するために入れるというのも、結構効果的だと思いま
す。私はだいたい10行くらい連続して文字が埋まっていると、やはり空行を入れた
くなりますね。

 こんな感じですかね。これらは、あくまでも私が使っている手法を参考例として
紹介しただけであって、決して他の皆さんに「こうしろ」と強制するつもりのもの
ではありませんので、ご了承ください。


538 名前:作B ◆SAKubqyuTo 投稿日:2007/08/15(水) 23:56:59 Lvd/hCEW0
●ヨタ話 −−書式について−−

 自分を含めて、素人投稿作家の方たちは、「執筆者」であると同時に「編集者」で
もあります。投稿した文章のそのままの書式が、ほとんどの読者の「見る書式」とな
るわけですから(まれにテキストデータだけ抽出して自分好みの書式に整形してから
読むっていうツワモノもいるかもしれませんけどね)。

 ですからやはり、文章の内容と同時に、書式にも気を配ることは重要だと思います。
見方を変えれば、そういう部分でも個性を発揮できる、と考えることもできますね。

 私自身はもちろん、編集やら印刷やらの勉強などしたこともありませんから、これ
まで見たり読んだりしてきた経験を基にして、自分用の書式やスタイルを使っていま
す。一応、参考例として紹介しますね。

 段落の最初の文字は空白1個分字下げしています。TTY時代の名残というか、
1行76文字(全角だと38文字)くらいで改行を入れています。禁則は自前で
やっているので、時々忘れてたり変になったり…。2chの表示はプロポーショナルフォ
ントが標準ですから、字数をそろえてもあんまり見やすくはならないんですけどね。

 「セリフは空白1個分字下げして、カッコを置いています。
  複数行にわたるセリフは空白2個分字下げしています。
  あと、セリフと本文のあいだには空行を入れてますね」
 「複数のセリフが連続する場合は、基本的に空行を入れていません。
  行数が多くなったり、意味が転換する場合には空行を入れています」

 こんな感じですかね。これらは、あくまでも私が使っている手法を参考例として
紹介しただけであって、決して他の皆さんに「こうしろ」と強制するつもりのもの
ではありませんので、ご了承ください。


539 名前:作B ◆SAKubqyuTo 投稿日:2007/08/16(木) 00:03:46 twO+npmM0
●ヨタ話 −−投稿について−−

 このスレに初めて作品を投稿したとき「さるさん規制」というモノに引っかかって
しまい。思うように投稿できなくて難儀しました。これはx分以内にy回連続して投
稿すると、次の投稿は一定時間が経過するまで規制されてしまう…というものです
(板ごとに設定が異なり、羊ではx=60、y=10のようですが、自信はありません)。

 羊にはさらに、連投規制なんてのもありますんで、これと複合でひっかかると、も
うその日は寝ろって宣告されたのと同じ状態になってしまいますw。

 で、これらを回避するため、何度か実験をしたんですが、私の場合は、今以下のよ
うにしています。

1)一度投稿したら、次の投稿まで5分以上あける
2)10連投以上する場合は、途中で毎時0分を挟むようにする

 必ずしもこれが最適解ではないとは思いますが、いまのところこれで回避できてい
ますね。

 こんな感じですかね。これらは、あくまでも私が使っている手法を参考例として
紹介しただけであって、決して他の皆さんに「こうしろ」と強制するつもりのもの
ではありませんので、ご了承ください。


 以上で、「ヨタ話」を終わります。ご静聴ありがとうございました。


540 名前:名探偵℃-uteから〜 投稿日:2007/08/16(木) 00:30:19 dYrkIUaq0
ヨタ話さんへ〜ありやと〜ございやした〜!!
んまぁ〜自分は十連投出来ないので・・・
基本的に気の向くまま描いてるので〜
スタンス開いても大丈夫なように題名に名探偵℃-uteと付けてます
これからも長い目でお願いします。

541 名前:作家1号 投稿日:2007/08/16(木) 02:54:48 h88NHIyC0
>七姉妹の設定がゆるいというのは、これはもう自由に色がつけられるぶん、感謝!

いや「℃-uteって姉妹みたいだな」ってのは多くの人の共通認識だと思ってるので、
自分ひとりの創作物みたいに勝手に設定決められないなってのがあったんス。

それともう一つ理由があって、とにかくご新規さんを大事にしよう、と。
スレタイに惹かれてスレ開いてみる→何か小説みたいな事をやってる→とりあえず手近に表示されてる話をひとつ読んでみる→
割と面白いじゃん!?→スレ住人増加!!って展開が理想だなと思って。

そのためには「最初から読まないと意味わかんない」「膨大な設定把握してないと訳わかんない」じゃなく、
「なんか℃-uteの七人が姉妹役みたい」だけ頭に入ってれば楽しめる読みきり感覚のシリーズがいいなと。

だったら基本縛りは「この七人が姉妹だったら」のみ、
必要によっては設定追加も自由・ただし他の書き手がその設定に従うか従わないかも自由、
それぐらい自由にして、常に書き手も読み手もご新規さんウェルカム!!にしようと思いまして。
幸い現在の書き手さん達はそれを理解されて書かれてる方ばかりなので嬉しいです。

あとはスレ雰囲気が閉鎖的にならないように、誰かがネタ振りゃ名無しで脱線・雑談してたいス。
自分も作品以外の時は名無しでヤイヤイ言ってますので。


ではでは、書き手が何代代わろうとも、以降も良作が続きますように。

542 名前:夏の夜の怪(47) 投稿日:2007/08/16(木) 22:45:01 twO+npmM0
●AM03:00

 私たちはおふとんを片付け、ソファをリビングのまんなかに移動し、そこにえりか
ちゃん、私、愛理と舞ちゃんが座った。

 さっき作った「スプレー噴射装置」を栞菜が持ち、スリッパと「回収用」のトイ
レットペーパーを持った舞美ちゃんと千聖がいる。そして、それ以外のメンバーを
含めた全員がタオルを頭に巻き、マスクを着けているという格好で、「夜中に大掃除」
みたいな、かなり異様な光景。

 「みんな、準備はいい?」
 「「「「「「うっす!」」」」」」

 「私と栞菜で、天井裏にスプレーをまく。えりか、なっきー、愛理、舞ちゃんは
  ここから動かないこと。千聖はここで待機して、『敵』がこないか見張ってて」
 「アイアイサー!」

 「スプレーをまいたあとは、出てきたヤツは私と栞菜で退治するからね」
 「まかせて!」
 「多分、家じゅうが大騒ぎになるかもしれないけど、みんなできるだけ落ち着いて
  いてね。えりたちも、スリッパ持っていたほうがいいかもしんない」

 「そうだね。自分の身は、自分で守らなきゃ」
 「えりかちゃんかっこいい!」
 「よし、ここはえりかちゃんに任せた!」
 「あんたらもちゃんと持ちなさい」
 「だってぇ〜、怖いんだも〜ん」
 「スリッパ怖い〜」
 「怖いのはスリッパじゃないでしょ!」


543 名前:夏の夜の怪(48) 投稿日:2007/08/16(木) 22:59:54 twO+npmM0

 千聖は「やれやれ」のポーズをして、ソファの上(えりかちゃんと私と愛理と舞
ちゃん)でのやりとりを見守っていた。舞美ちゃんと栞菜も目を見合わせて、クスッ
と笑った。

 「よし、栞菜、いくよ!」
 「はい!」
 「いってらっしゃーい、気をつけてね〜」

 舞美ちゃんと栞菜は、天井裏の入口のフタの下にイスをふたつ並べ、それぞれにの
り、立ち上がった。

 「いい?、私がフタを開けたらすぐに『それ』を置いてね」
 「うん」
 「いくよ?」

 舞美ちゃんがフタを開けると、さっきと同じように「卵」と「フン」がパラパラと
落ちてきた。その量も、さっきより増えているのが分かる。栞菜はすばやく「スプレ
ー噴射装置」を天井裏に置き、ひもをたぐりよせた。

 「できた!」
 「よし!」

 舞美ちゃんはすぐにフタを閉めた。フタからは「噴射スイッチ」のひもだけがぶら
下がっている。舞美ちゃんはイスから飛び降り、ハエタタキとスリッパを両手に持っ
て、栞菜のほうに向き直った。

 「いい?、合図をしたら、スプレーの音がしなくなるまでずっと、引っぱり続ける
  んだよ。もしも『ヤツら』が出てきたら、私が仕留めるから」
 「うん!」


544 名前:夏の夜の怪(49) 投稿日:2007/08/16(木) 23:04:42 twO+npmM0

 舞美ちゃんは、リビングにいるみんなにも聞こえるような大きな声で呼びかける。

 「みんなー!、いくよー!」
 「「「「「はーーい!」」」」」

 「3・2・1・発射!!」
 <<<プシューーッ!>>>
 <バサバサバサバサッ!!!>

 栞菜がひもを引っぱると、中でスプレーの噴射する音…、と同時に「ヤツら」が暴
れまわり、もがいている音がする。なにか大きな鳥が羽根をひろげて暴れているかの
ようだ。栞菜は、その「音」の大きさにも驚いたけど、ひもを引っぱる力を緩めるこ
とはしなかった。

 天井と壁のあいだにできているわずかな隙間から、スプレーの薬剤が漏れ出してい
る。そしてそこから「ザコクラスの敵」が1匹、這い出してきた。

 「舞美ちゃん!、うしろ!、上!!」

 じっと栞菜のほうを見ていた舞美ちゃんは、振り向くと「敵」の姿を確認した。
「敵」は舞美ちゃんめがけてまっすぐ飛んできた!

 「きたっ!!」
 <スパーン!、バシッ!>

 舞美ちゃんはすかさずハエタタキで「敵」を叩き落し、そしてスリッパでとどめを
さした。すると今度は、別の場所から、「ザコクラス」が舞美ちゃんめがけて廊下を
突進してきた。


545 名前:夏の夜の怪(50) 投稿日:2007/08/16(木) 23:12:18 twO+npmM0

 「もう一匹!」
 <バシッ>

 スリッパ1発で仕留められた「こいつ」もまた、舞美ちゃんの敵ではなかった。

 「舞美ちゃん!、こっち!!」
 <パシンッ!>

 「OK!」
 <バシッ!>

 栞菜はひもを引っぱる手を左手に持ち替え、自分に向かって飛んできた「ボスクラ
スの敵」をスリッパで打ち落とした。すかさず舞美ちゃんが、床に落ちた「そいつ」
にスリッパでとどめをさした。廊下の床の上には、あっというまに3匹の死骸が転
がった。

 「こいつら!、こっちに向かってくる!!」
 「なんで?!、私たちが分かるの?!」
 「そんなばかな…」

 すると、ひっぱり続けていた「噴射装置」のひもが、突然切れた。

 「あっ!」
 「あぶないっ!」
 <ガタンッ!、ドスンッ!>

 栞菜はバランスを崩してイスから落ち、床に尻餅をついた。


546 名前:夏の夜の怪(51) 投稿日:2007/08/16(木) 23:18:00 twO+npmM0

 「いった〜い!」
 「栞菜!、大丈夫」
 「大丈夫。舞美ちゃん、これ見て…」
 「うそ…」

 栞菜は切れたひもの先を舞美ちゃんに見えるように持ち上げた。その先は、なにか
にかじられたようにちぎれていた。

 「あいつらが切ったの?」
 「信じられない」
 「よし!、ここはもういいから、リビングに戻ろう」

 二人は床に転がっている死骸の片付けを後回しにして、いったんリビングに戻った。

 「千聖、どう?」
 「大丈夫みたい。まだこっちには現れてない」
 「このまま天井裏で全滅してくれればいいんだけど…」

●AM03:30

 ヤツらの「暴れまわる音」は天井を伝わって、ほんの少しだけど、リビングにいる
みんなの耳にも聞こえてきていた。みんなはその音が早くおさまることを、必死に
なって祈っていた。

 舞美ちゃん、栞菜、千聖はしっかりと目を見開き、リビングへの「敵」の侵入がな
いかどうかを見張っている。「ヤツら」にとって天井裏からの抜け道があれば、きっ
とこのリビングから見える場所に降りてくるはずだ。


547 名前:夏の夜の怪(52) 投稿日:2007/08/16(木) 23:23:41 twO+npmM0

 そしてやはり、逃げ出した1匹と思われる「敵」が、トイレに向かう廊下を走り抜
けていくのが見えた。

 「やっぱ出てきたか…」
 「とにかく、確実に潰していこう」
 「私がいってくる」

 栞菜は「そいつ」を退治するために、トイレのほうに向かっていった。「そいつ」
は、どうやらスプレーを浴びて弱っているらしく、動きは鈍かった。栞菜はクールな
視線で見下ろし、丸めた新聞紙を構えた。

 「あばよ…」

 振り下ろされた「鉄槌」は確実にとどめをさし、その死骸はトイレットペーパーで
包まれてトイレに流された。栞菜がリビングに戻ろうと振り返ると、向こうになにか
白い影が見えたような気がした。

 「えっ?!、なに?」
 「(なんなの?…)」

 栞菜はおそるおそる、影の消えた場所に近づいていった。誰かがいるような気配は
しない。もしかしたら、何かの見間違いだったのかもしれない。廊下の角に立って見
回してみたけど、やっぱり誰もいなかった。

 「栞菜!、こっち来て!」

 舞美ちゃんが叫んでいる。キッチンからだ。栞菜は急いで向かった。


548 名前:夏の夜の怪(53) 投稿日:2007/08/16(木) 23:29:10 twO+npmM0

 「これ見て」
 「うわっ!、こっちに逃げ出してきたんだ!」
 「換気扇からみたい…。さすがの私も、これは見てらんないな…」

 どうやら天井裏から壁の隙間をつたわって、換気扇のところに「ヤツら」の道が通
じているようだ。列をなすようにして、ぞろぞろとキッチンのシンクに降りてくる。
しかしみなスプレーの薬剤を浴びて弱っているらしく、その動きはノロノロとしてい
る。シンクはまるで「ホイホイハウス」の状態で、中にはすでに十数匹の、うごめく
「固まり」ができている。

 舞美ちゃんは戸棚をあけて、奥のほうにしまってあったものを取り出した。

 「あったあった、これを使いますか…」
 「ええーっ?!」
 「どうせもう使わないモノだし、ちょうどいいサイズじゃん?」

 舞美ちゃんが手に持っているのは、昔よく使っていた「虫よけネット」。テーブル
のうえに置いてある食べ物に虫が飛んでこないように、上からかぶせる傘のようなも
ので、ちょうどシンクの深み全体を覆うくらいの大きさなのだ。

 「こいつらがみんなここに降りてきたら、これをかぶせてもう一回スプレーしよう。
  栞菜、ガムテープ持って来てくれる?」
 「はいよ」

 舞美ちゃんはシンクに次々と入ってくる「ヤツら」をしばらく眺めていた。やがて
逃げ出してきた「黒い列」が途切れると、シンクの中には数十匹の「ヤツら」がガサ
ガサとうごめいている状態になった。


549 名前:夏の夜の怪(54) 投稿日:2007/08/16(木) 23:34:38 twO+npmM0

 「よし、栞菜、ガムテープ貼って」
 「はいよ、それにしても、やっぱり気持ち悪いね」
 「しょうがない。これで全部だったらいいんだけど…」

 舞美ちゃんがシンクにネットをかぶせて、栞菜がそれをガムテープで固定した。ス
キマから逃げ出さないようにするためだ。

 「準備オッケー!」
 「ようし、いっくぞぉ〜!」

 すると突然、キッチンの照明がチカチカと点滅しだした。

 「なに?」
 「なに?、どうしたの?!」

 <ガシャアン!>
 「「きゃああーーーっ!!!!」」
 「舞美ちゃん!、栞菜!、大丈夫?!」

 千聖がリビングから入ってくると、キッチンは真っ暗で、舞美と栞菜の悲鳴だけが
聞こえる。千聖は振り返ってえりかちゃんに声をかけた。

 「えりかちゃん!、懐中電灯!」
 「はいこれ!、どうしたの?!」
 「わかんない!、舞美ちゃん、栞菜!、大丈夫?!」
 「大丈夫!、電灯つけて!」

 千聖はえりかちゃんから懐中電灯を受け取り、それでシンクの横にしゃがみこんで
いる舞美ちゃんと栞菜を発見した。


550 名前:夏の夜の怪(55) 投稿日:2007/08/16(木) 23:39:09 twO+npmM0

 なんとキッチンの照明がテーブルの上に落下している。千聖は舞美ちゃんのそばに
かけよった。

 「どうしたの?」
 「わかんない。でもね、すごいイヤな予感。ちょっと電灯貸して」
 「はい」
 「二人とも、このまましゃがんだままでリビングに行って」
 「どうして?」
 「舞美ちゃんは?」
 「いいから早く、栞菜、新聞紙貸してね」
 「はい」

 栞菜は丸めた新聞紙を舞美ちゃんに渡すと、千聖と二人でしゃがんだ姿勢のまま、
キッチンを出た。それを確認した舞美ちゃんは、新聞紙を右手にしっかりと持ち、左
手の懐中電灯でゆっくりと、照明のぶら下がっていたあたりの天井を照らした。

 「大ボスの登場ね…」


551 名前:作B ◆SAKubqyuTo 投稿日:2007/08/16(木) 23:51:36 twO+npmM0
ども、今回の更新はここまでです。

 明日からベリ中野参戦と、その後のオフに参加などするため、
多分更新できないかな…と思います。もしかしたら土曜日も
ムリっぽいので、日曜日の夜になるかも…。ご容赦ください。

>>540
 でわ、ながい目で見てますよ〜♪

>>541
 いい意気込みですね。ナイスです。


 さて、本編もいよいよクライマックスが見えてきました。よく
考えたらすでに「負けないで」を超える量になってしまいました。
よくもまあこんなくだらない内容で、ここまで引っぱってしまって
申し訳ないです。あと少しですので、ご辛抱ください。

でわでわ、
 引き続きみなさんのツッコミをお待ちしております。


552 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2007/08/18(土) 02:15:37 hgCxekP00
扇風機でバラバラになるとこ声出して笑ったw

553 名前:タイトル未定(1) 投稿日:2007/08/20(月) 01:41:00 RQqPcdqi0
春・・・新しい季節の訪れを告げる時期
満開の桜はまるで私達の新学期を祝福するように咲き誇る
「なっきぃ、急がないと遅刻するよ」
栞菜が私の袖を引っ張りながら急かす
「もぉ、栞菜そんなに急がなくても大丈夫だよ」
通学路に咲く桜に感慨を巡らしながら私は答えた
(栞菜ももう中学生かぁ・・・)
一つ年下だけど自分より幾分大人びた少女を見つめる
「そうだ、栞菜どっちが先に彼氏が出来るか競争しよっか?」
冗談半分に出た言葉
「負けないかんな」
そんな言葉にむきになって答える栞菜が可愛かった

校門前につく頃には始業時刻の数分前になっていた
「ほら、なっきぃ、ギリギリだったじゃない」
栞菜は駆け足で校門を駆け抜けた
「そんな、急がなくても」
口をついて出かかっかた言葉を飲み込む
通学用のバッグにいつもつけているストラップがなかった
舞美ちゃんから貰った少し大きめのストラップ。
「どっかで落としたのかなぁ、舞美ちゃんに何て謝ろう」
キーンコンカーンコン
始業時刻を告げるベルにうながされ私は教室に駆け込んだ

554 名前:タイトル未定(2) 投稿日:2007/08/20(月) 01:49:57 RQqPcdqi0
その日の授業にはまったく身が入らなかった
と言っても歴史以外の五教科はもともと苦手だけど・・・
「ハイ。本日はここまで。みんな気を付けて帰るように」
担任の先生の声をかわきりに教室に一気に喧騒が訪れた
私はストラップの事が気になり急いで教室を飛び出した
ドンッ
「痛いっ」
慌て過ぎたせいか何かにぶつかりしりもちをつく
「なかさきちゃん大丈夫?」
幼馴染みの熊井君だった

熊井君だけが私の事をなかさきちゃんと呼ぶ
泣き虫だった私をいつも慰めてくれた「泣かないで早貴ちゃん」と言う言葉
何百回と繰り返された言葉はいつしか短くなり「今日からなかさきちゃんって呼ぶね。
早貴ちゃんが泣かないように」そういって熊井君は無邪気に笑っていた
「もぅ、恥ずかしいケロ」
照れながらもなんか嬉しかった

「なかさきちゃん?」
私がそんな回想をしている間、反応がない事を心配したのか熊井君が
体を屈め私の顔を覗きこんだ
はっと気が付いた時にはすぐ目の前に熊井君の顔があった
「だ・大丈夫ケロ」
すぐに目をそらし立ち上がる
「あんなに急いでたら危ないよ」
熊井君が諭すように語りかける
「ごめんね、大事なストラップ無くしちゃって今から探そうと・・・」
私の言葉も終わらないうちに熊井君はポケットから何かを取り出した
「これの事?校門前に落ちてたよ」
「それだー、ありがとう」
ストラップが見つかった嬉しさに今にも踊りだしたい気分だった

555 名前:タイトル未定(3) 投稿日:2007/08/20(月) 01:52:25 RQqPcdqi0
「なっきぃ、ここに居たんだ。一緒に帰ろうよ」
栞菜が勢いよく駆け込んでくる
「熊井君も居たんだ、どう、熊井君も一緒に帰る?」
栞菜は熊井君の姿を認めるとそう問いかけた
「ごめん。部活があるし今日は無理だよ」
彼はその身長を活かしバスケ部で活躍していた。噂では取り巻きの女の子達もいるらしい
「いいじゃん、今日ぐらいさぼっても。ねぇ、なっきぃ」
そう言って私に笑いかける栞菜
「もう、熊井君困らせちゃだめだよ。ほら、帰ろうよ、栞菜」
栞菜の手を引いて、廊下を歩く
(バイバイ言うの忘れちゃったな)
そう思い振り返ると苦笑いしながら手を振る熊井君がいた

556 名前:タイトル未定(4) 投稿日:2007/08/20(月) 01:54:26 RQqPcdqi0
帰り道、妙にはしゃいだ栞菜がしゃべり続ける
「熊井君っていいよね。かっこいいし、やさしいし背も高い
完璧じゃん。うん、完璧」
自分の言葉を何度も頷きながら自ら肯定する栞菜
「そうかなぁ、別に普通だよ」
「なっきぃは仲良過ぎて分らないんだよ。完璧だよ、理想」
何が嬉しいのか嬉々として話し続ける栞菜にあいまいな相槌を打ちながら
家路を急ぐ
(熊井君か、確かに良い人だけど・・・)
自分の本心を掴めないままに、私の思考はそこで強制的にストップした
「なっきぃ、栞菜手伝ってよー」
遠くから私達を呼ぶ声
「あー、えりかちゃんだよ。」
そう言って、栞菜の指差す先には両手いっぱいにスーパーの袋を抱えた
えりかちゃんが居た
「キュフフ、えりかちゃん、何買ったらそんな量になるの」
幾ら七人分とはいえ想像を絶するその量にもはや笑うしかなかった
「だってー、冷凍枝豆がすごい安かったんだよ。買わなきゃ損じゃん」
「物には限度があるでしょ。どうするのその大量の枝豆」
「どうするって、食べるよ普通に」
「普通に食べれる量じゃないでしょ」
頭が痛い。えりかちゃんは中身はほんと子供でたまに疲れる
「いいじゃん、とにかく三人で手分けして運ぼう」
栞菜の言葉に促されそれぞれ荷物を抱える
(あーあ、これじゃ当分食事のメインは枝豆だな)
そんな言葉が喉まででかかった
「やっぱ枝豆だね、枝豆さいこー」
「そうだかんなー」
「おつかんなー」
えりかちゃんと栞菜はよく分らないテンションで何時までもはしゃいでいた

557 名前:タイトル未定(5) 投稿日:2007/08/20(月) 02:00:21 RQqPcdqi0
ジリリリリ……
矢島家で最も早起きな目覚ましが鳴り響く
「う〜ん」
私は枕元においてある眼鏡に手を伸ばす
ジリリリリ…尚も自己の勤めを果たそうとする
目覚ましに本日の勤務終了を知らせる
「ごくろうさま」
私は目覚ましに優しく手を置いた
「さあ、みんなの朝食作らなきゃ」
まだ眠気の残る頭に気合いを入れる
矢島家では調理関係は全て私の担当だった
舞美ちゃんは大ざっぱ過ぎてダメダメだし
えりかちゃんに至っては、包丁で間違って指を切ったぐらいで
「舞美、死んじゃうよ、舞美」って泣きながら大騒ぎ
栞菜は興味無い事にはまったく無関心だし
かろうじて愛理が戦力になる程度
下の2人はまぁねぇ…
かくして矢島家の台所は私が預かる事に
満場一致で決定したのである
トントントントントン
包丁は今日も軽快なリズムで野菜を刻んで行く

558 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/08/20(月) 03:13:47 BjckUdhA0
久々に書き込ませていただきます
ハロプロやねん公開録音の
ほんとに好きなの、だから許して
このセリフに触発され書いてみました
内容とは関係ないですが
お話はもうちょっと続きます
今日は遅いのでこの辺で


559 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/08/20(月) 19:10:53 tXzXM4ii0
>>558
乙です!!続きも期待してます!!
できればサブタイトルも…
いやタイトル含めて世界観に浸りたいなあと思って

560 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/08/20(月) 23:13:43 tXzXM4ii0
熊井ちゃんは学ラン似合いそうだね

>えりかちゃんに至っては、包丁で間違って指を切ったぐらいで
>「舞美、死んじゃうよ、舞美」って泣きながら大騒ぎ

面白いスw

>>1の設定書いた人は結局このスレに来なかったみたいだし
もし次スレにいくようなら1>>の基本キャラ設定表みんなで考えて直していきましょうよ。
自分の中ではえりかも高校生(舞美と同じ高校)だし、ぜひ『舞美好き』ってのを付け加えたいw

561 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/08/21(火) 01:45:23 skTfTUeZ0
漏れのイメージでは
長女 舞美  高二 母親代わりを自認し頼れる力持ちだがドジ。陸上部。
次女 えりか 高一 何事もユーモアで切り抜ける現代っ子だがナイーブな一面も。
三女 早貴  中三 優等生でしっかり者。フォローにまわる損な性格。趣味は小説を書くこと。
四女 栞菜  中二 ちゃっかりした性格でイケメン・恋バナに目がない。感受性が強い。
五女 愛理  中一 女の子らしく優しい。あがり症で大人しいが、マイクを持つと性格が豹変。
六女 千聖  小六 男勝りで正義感が強く、やんちゃ。ときにトラブルメーカーにも。
七女 舞   小五 自由奔放でマスコット的存在。ツッコミが鋭い。趣味はサングラス集め。

歌・音楽は姉妹を結びつけるキーワード(親の影響か?)。

家事は…得意:えりか、早貴、栞菜/普通:愛理、舞/苦手:舞美、千聖。
運動は…得意:舞美、千聖/普通:えりか、栞菜、舞/苦手:早貴、愛理。
勉強は…得意:早貴、愛理/普通:栞菜、舞/苦手:舞美、えりか、千聖。
流行は…敏感:えりか、栞菜/普通:早貴、愛理、舞/疎い:舞美、千聖。
偏食は…ない:舞美、早貴/少し:千聖/多い:えりか、栞菜、愛理、舞。


…一例ね。たぶん要修正。



562 名前:タイトル未定改め季節がめぐるように(6) 投稿日:2007/08/21(火) 02:27:34 xJzSUpJo0
「おはよー、なっきぃ」
普段早起きなんてしない声の主に幾分驚き
「おはよー、栞菜。今日は早いね。どうしたの」
そう問いかける
「何言ってんの。今日はバスケ部の春季大会の日だよ。熊井君の
応援だよ。お・う・え・ん」
「そう言えば、今日だったね。」
「なっきぃ行かないの?」
「うーん、辞めとく。栞菜、私の分も応援しといて」
「ふーん。そうなんだー」
栞菜との会話もそこそこに私は朝食の準備を進めていく

563 名前:季節がめぐるように・・・(7) 投稿日:2007/08/21(火) 02:31:48 xJzSUpJo0
その日栞菜はとても悲しそうな顔で帰ってきた
「熊井君達負けちゃったよ。みんなあんなに頑張ってたのに」
今にもこぼれそうな涙を堪えながら栞菜が言う
「しょうがないよ。相手だって頑張ってるんだから」
えりかちゃんがやさしく栞菜を諭す
「なっきぃ、熊井君泣いてたんだよ。すごい悔しそうな顔して」
その言葉にはっとする私
いつも私を慰めてくれた熊井君。今度は私が、そんな気持ちが込み上げる
「泣いてたんだ・・・。」
だれに聞かせるでもなくそんな言葉がこぼれ出た

「ただいまー、って何か空気重ーぃ」
「ほら、みんなどうした。おなか空いてるの?とか言って」
「どーして、こんなに空気重いの。ねぇどーして」
「舞美ちゃん、愛理浮いてるよ」
「よかった、みんなお帰り。遅かったね」
場の空気に耐えられず、オロオロとおやつの枝豆をぱくついていたえりかちゃんが
ここぞとばかりに口を開く
「ほんと楽しかったよ、舞なんてさー」
舞美ちゃんの言葉をかわきりに矢島家にいつもの明るさが舞戻る
姉妹の賑やかな笑い声が部屋中にこだました

564 名前:季節がめぐるように・・・(8) 投稿日:2007/08/21(火) 02:34:24 xJzSUpJo0
その日栞菜はとても悲しそうな顔で帰ってきた
「熊井君達負けちゃったよ。みんなあんなに頑張ってたのに」
今にもこぼれそうな涙を堪えながら栞菜が言う
「しょうがないよ。相手だって頑張ってるんだから」
えりかちゃんがやさしく栞菜を諭す
「なっきぃ、熊井君泣いてたんだよ。すごい悔しそうな顔して」
その言葉にはっとする私
いつも私を慰めてくれた熊井君。今度は私が、そんな気持ちが込み上げる
「泣いてたんだ・・・。」
だれに聞かせるでもなくそんな言葉がこぼれ出た

「ただいまー、って何か空気重ーぃ」
「ほら、みんなどうした。おなか空いてるの?とか言って」
「どーして、こんなに空気重いの。ねぇどーして」
「舞美ちゃん、愛理浮いてるよ」
「よかった、みんなお帰り。遅かったね」
場の空気に耐えられず、オロオロとおやつの枝豆をぱくついていたえりかちゃんが
ここぞとばかりに口を開く
「ほんと楽しかったよ、舞なんてさー」
舞美ちゃんの言葉をかわきりに矢島家にいつもの明るさが舞戻る
姉妹の賑やかな笑い声が部屋中にこだました

565 名前:めぐる季節のように・・・(8) 投稿日:2007/08/21(火) 02:37:36 xJzSUpJo0
それから何日か過ぎた放課後の帰り道
栞菜は何時もと変わらず普通に接してくる
私はなぜか気後れしてしまい、相槌を打つのみだった
「なっきぃ、聞いてる。それで今日の宿題がね」
「宿題。あっ、プリント教室に忘れちゃった」
私は学校に戻るため来た道をかけ戻る
「栞菜、先に帰ってて」

教室の扉を開く。窓から指す夕日で教室は赤く染まっていた
自分の机に向かい素早くプリントを取り出す
「なかさきちゃん」
不意にかけられた声に慌てて振り返る
「熊井君どうしたの」
放課後の教室に二人だけ。その状況に夕日が照らす以上に
頬が赤くなっているのを感じる
「さっき、教室に入っていくのが見えて・・・。ちょうどなかさきちゃんに
話したい事もあったし」
「話したい事?」
「うん。僕ほんとはね、ずっとなかさきちゃんの事」
ガタッ
扉の方から何かが落ちる音が聞こえる
「栞菜、もしかして聞いてた」
入り口に立ちつくす栞菜を認め慌ててかけ寄る
「何にも聞いてないよ。聞いてなんか…」
そう言って走り去る栞菜
「なかさきちゃん・・・」
「ごめん、今のは聞かなかったことにする。今の私じゃ何も応えられないよ」
そう、後悔はない。私は走り去った栞菜の後を追いかけた

566 名前:めぐる季節のように・・・(9) 投稿日:2007/08/21(火) 02:40:54 xJzSUpJo0
私は通学路を駆け抜ける
栞菜の姿を見落とさないよう周囲に視線を巡らせながら
呼吸が苦しい
でもそれ以上に胸が苦しい
(熊井君の事?栞菜の事?)
そんな疑問が去来する
ポツポツ
さっきまで雲一つなかった空から小さな滴が落ちてきた
私にはそれがまるで栞菜の涙のようで辛かった


「栞菜、大丈夫かな」
えりかちゃんが心配そうに玄関を見つめる
「大丈夫だよ、えり。もう少ししたらケロっとして帰ってくるよ」
舞美ちゃんもそう言いながら落ち着きなく窓と玄関を見渡す

降りだした雨はまるで春の終わりを告げるように何時までも降り続いける
私は一人探し続けた。いつ栞菜が帰ってきてもいいように皆を家において
もうどのくらい歩いただろう。心当たりの場所をすべて探し終え私はその場に座り込む
服は十分すぎるほど雨を吸い込み体が重い
「栞菜、どこに居るの」
少しこぼれた涙を雨が洗い流す
ふと目をやった時計の針はちょうど新しい1日の訪れを告げようとしていた

567 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2007/08/21(火) 02:57:11 aJQiq4ZDO
途中貼り付けるやつ間違えました
すみません
>>559
一応タイトルつけました
かなり長い間考えたんですがしっくり来るタイトルが
思い浮かびませんでしたなので安易なタイトルに走りました

>>560
同級生って設定は私も賛成したいです
母親が亡くなった時に色々あって一年休学とか
なんとか出来る気が


568 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/08/21(火) 03:47:53 urYkZQROO
ここで四十路なかばのオサーンがなにウロウロしてやがる?

569 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/08/21(火) 17:25:56 eTIrv/W8O
テスト

570 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/08/21(火) 21:54:07 IUrMAd9n0
>>561
いいですね。
個人的に舞美の「陸上部」だけナシかな!?と
いや「両親不在の七人姉妹」って家庭で親代わりを努めてると「部活動などやってる暇が無い」と思うのと、
陸上部のエースだし走るのも大好きだったのに、姉妹の世話のために部活動を辞めざるをえなかった舞美に、
本人は「気にしないで」って言ってるが「自分たちのせいだ」と思った姉妹達は…みたいなネタのストックがあるの。

あと同じ人物の捉え方でも自分のイメージと同じだったり違ったりが面白いです。

>歌・音楽は姉妹を結びつけるキーワード(親の影響か?)。

これ自分とイメージ共通です。
「著名な音楽家だったパパの遺産と印税収入で生活できてる」が自分のイメージでした。

で、もう一つネタ振り
この七人が一緒に住んでると絶対!!犬を飼ってると思うんですよ。
で、何か℃-uteに縁がある名前がないかなあ、と。
…ってか、誰かが飼ってる犬の名前流用しようと思っても犬多すぎッス!

571 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/08/21(火) 22:07:41 IUrMAd9n0
>>567
乙です
栞菜の家出、先にやられた!!って感じで悔しかったりします…
とりあえず続き期待

>母親が亡くなった時に色々あって一年休学とか
>なんとか出来る気が

この辺は、テンプレの設定にこだわらなくても実際にお話を作る人の自由でいいと思う。
実際、「お父さんが刑事」っていう設定の「名探偵℃-ute」も同居してる訳だし、最低限の共通設定で
作者によって違う世界観の話を書いてるって思えばいいわけですし。

572 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/08/21(火) 22:28:00 lZ91jinH0
おお、気付いてみると500レス越えてる。
芸スポからここまで発展しているとは!
すんません、ブランク空き過ぎました。
最初の方から拝読させてもらいます。
書き手の皆さんに感謝。

573 名前:名探偵℃-uteより・・・ 投稿日:2007/08/22(水) 00:46:15 j09m27CR0
いや〜皆さんレベル高過ぎ・・・
オイラノ稚拙な文章より読みやすいので焦り気味・・・
こうなればアクション&Berryzとのコラボで押し切ります、

574 名前:夏の夜の怪(56) 投稿日:2007/08/22(水) 01:33:05 nacWogMZ0
●AM04:00

 天井に貼り付いている大きな黒いかたまり。「大ボス」は、さっき舞ちゃんが天
井裏で見たときよりも、さらにひとまわり大きくなっているように見えた。

 「ここまで大きいと『お化け』だね…」

 舞美ちゃんは自分を落ち着かせるようにしてひとりごとを言った。言葉がわかるの
か「大ボス」は長い触角を揺らしながら、天井に貼り付いたままゆっくりと舞美ちゃ
んのほうに向き直った。

 「『歯が強い』って、アピッてるんでしょ?」

 キッチンの照明がテーブルに落ちたのは、おそらくコイツの仕業だろう。照明をつ
るしているコードを食いちぎったのだ。

 「(どうしようかな…)」

 シンクにはネットをかぶせられた状態で、まだたくさんの「ヤツら」がうごめいて
いる。あとは殺虫スプレーをかけて始末するだけだけど…、多分この「大ボス」は、
それを阻止するために出てきたのだろう。だとすれば、こちらが次になにか動こうと
すれば、なんらかの攻撃を仕掛けてくるかもしれない。でも、ヤツらの「攻撃」って、
どんなものなのか…。

 夜明けが近づいているのか、キッチンの窓と、その外の景色とは、真っ黒から、
深い青へと、色を変えようとしていた。


575 名前:夏の夜の怪(57) 投稿日:2007/08/22(水) 01:36:10 nacWogMZ0

 舞美ちゃんは左手の懐中電灯で天井の「敵」を照らし、右手に丸めた新聞紙を持った
まま、ジリジリと、リビングへ抜けるドアに向かって移動した。今、考えられる「ヤ
ツの攻撃」は体当たりくらいしかない。ただし「ヤツ」の大きさと、飛んでくるスピ
ードを考えると、その衝撃も相当なものになりそうだ。なので、ドアを背にすること
で、周りへの被害を最小限にできるはず…。といっても、実際に突っ込んできたら、
よける自信もあまりなかった。ドアの外では、さっきから栞菜と千聖が心配しながら、
キッチンの中の様子をうかがっている。

 「栞菜〜、そこにいる〜?」
 「いるよ、舞美ちゃん大丈夫?」
 「大丈夫。ここ絶対にドアあけちゃダメだかんね〜」

 そういって舞美ちゃんは、ドアのノブにそっと手をかけた。その瞬間、「敵」は舞
美ちゃんめがけて飛び降り、突っ込んできた。

 「やっぱし!」
 <バシッ!>

 天井から直線的に飛んできた「敵」を、舞美ちゃんは新聞紙で迎え撃つ。ジャスト
ミートしたつもりだったが、その体の大きさとスピードに新聞紙が負けてしまい、ぐ
にゃりと折れ曲がった。その反撃は、「ヤツ」の飛んできた軌道を変える程度にしか
ならなかった。それで直撃は免れたものの、舞美ちゃんは「敵」を見失い、あわてて
懐中電灯を振り回した。

 「どっ、どこよっ!?」


576 名前:夏の夜の怪(58) 投稿日:2007/08/22(水) 01:39:17 nacWogMZ0

 <ビシッ!>
 「いたっ!」

 右の頬に痛みが走った。やはり「ヤツ」の攻撃は体当たりだけのようだ。マスクを
していたから直撃は避けられたけど、やっぱり触れたくない相手だけに、暗がりから
飛んでこられると怖い。

 「(目を…狙ってる?…)」

 舞美ちゃんは再び懐中電灯を振り回した。とにかく「敵」の居場所がわからなけれ
ば、対処のしようがない。舞美ちゃんはドアを背にしたまましゃがみこんだ。

 窓の外は、うっすらと明るさを取り戻そうとしている。家具の配置がなんとなく分
かるようになってきたから、自分が動き回る分には問題ないが、「敵」はいったいど
こにいるのか…。

 「(しょうがない、アレを使うか…)」

 舞美ちゃんは一呼吸置いてから、一気にシンクに向かって走り出した。すると
「大ボス」が戸棚の上から飛び出してきて、再び舞美ちゃんの目を狙って突っ込んで
きた。

 「単純なんだよっ!」

 舞美ちゃんは両目をつぶった。左目に体当たりの直撃を受けたが、そのままシンク
の下の扉を手探りで開け、なかから「武器」を取り出した。


577 名前:夏の夜の怪(59) 投稿日:2007/08/22(水) 01:42:12 nacWogMZ0

 「よし、来いっ!」

 舞美ちゃんは今度はシンクを背にしてしゃがみ、頭の上に「武器」を構えた、キッ
チンの中に少しづつ外の明るさが差し込んできた。気がつくと、左目の下のまぶたか
ら血が出ている。体当たりされたのと同時にかじられたらしい。

 「(最悪…)」

 これは傷のダメージというより、精神的なダメージのほうが大きかった。麗しの乙
女の顔を傷つけられるなんて、しかも「あんなヤツ」に…、ありえないほどの屈辱。
しかし、そんなことを考える間もなく、次の瞬間には、テーブルの反対側から姿を現
した「ヤツ」が、再び舞美ちゃんめがけて飛び出してきた。

 <ガアァンッ!>
 「やったっ!!」

 頭上から大根切りに「武器(フライパン)」を振り下ろすと、「ヤツ」の正面から
見事にヒットし、そのまま床の上にねじ伏せた。

 「やった…、やった…、はぁ…」
 「「舞美ちゃん!」」

 栞菜と千聖がドアを開けて飛び込んできた。舞美ちゃんは一気に緊張が抜けたせい
で、そのまま腰が砕けたようにへたり込んでしまった。それでも気を取り直すと、し
ぼり出すような声で話し始めた。


578 名前:夏の夜の怪(60) 投稿日:2007/08/22(水) 01:45:56 nacWogMZ0

 「栞菜…、こいつらに…、スプレーかけて!」
 「舞美ちゃん!、大変!、血が出てる!」
 「分かってる…。すぐに…、消毒しよう」
 「なっきー!、薬箱!」

 栞菜はリビングに向かって叫んだ。そして舞美ちゃんは栞菜と千聖の肩を借りて、
リビングへと「避難」してきた。私と愛理とで、すぐに傷口の消毒を始めた。

 栞菜がキッチンのシンクの中に向かってスプレーをかけると、中の「ヤツら」は暴
れまわり、スプレーの薬剤がキッチンに充満してしまった。たいした生命力だ。それ
で仕方なく、栞菜も千聖もリビングに「避難」してきた。

 「あいたっ!、ちょいしみるんですけど…」
 「ごめんね。動かないで」

 汗だくの舞美ちゃんの頭を膝枕に抱き、消毒薬を脱脂綿につけて傷口と、流れ出た
血をぬぐった。みんな心配そうに舞美ちゃんの顔をのぞき込んでいる。

 「舞美、大丈夫?」
 「舞美ちゃん…」
 「大丈夫大丈夫!。へへ、なっきーの膝枕なんて、久しぶり〜」
 「そだね。久しぶりだね。舞美ちゃん、ご苦労様」

 「あー、これで全滅だったらいいんだけど〜」
 「分からないね。でも、ほとんど始末できたんじゃない?」
 「そうであってほしい。ちょっと疲れたわ〜」
 「舞美、ずっと『戦って』たもんね。ちょっと寝たら?」
 「うん、ちょっと寝るわ…」

 そう言ったきり、舞美ちゃんは眠ってしまった。私の膝の上に頭をのせたままで。


579 名前:作B ◆SAKubqyuTo 投稿日:2007/08/22(水) 01:58:57 nacWogMZ0
ども。更新あいちゃってすいません。

 週末ベリのライブに行ってオフとか遊び三昧していたら、昨日は
体調を崩してしまって、仕事に影響してしまったというお粗末ぶり。
なんともかんともでした。

【訂正】
>>574 3行めは「×舞ちゃん → ○舞美ちゃん」に訂正です。

>>560
 考え直してっていうか、お約束というよりもイメージを膨らますた
めの土台として使ってもらうのがいいかもしれませんね。私も考え
てみよっかなw。

>>561
 いい感じですね。そういえば全員年子なんだw。

>>567
 このスレすでにいろんな主人公が出てきて面白いです。
 続きを楽しみにしてます。


580 名前:季節がめぐるように・・・(10) 投稿日:2007/08/22(水) 03:32:35 bA+zlC1/0
愛理は窓の外を見つめていた
雨のせいでくせの出始めた髪をなでながら
窓の外、幾分弱まり始めた雨のなか寄り添い歩く見覚えのある人影を見つけ
部屋を飛び出し、階段を駆け降りる
「二人が帰ってきたよ。みんな、早く」
今までの不安が嘘のように消えてゆく
ほかの姉妹にも笑顔が戻る

ガチャ
玄関のドアを開ける
「ごめんなさい・・・。」
うつむきがちに栞菜が口を開く
「もー、心配かけて。後でお仕置きだよ。とか言って」
「舞美怖ーい」
舞美ちゃんの一言に両手を口の前で合せ怖がる仕草をするえりかちゃん
そんな二人のやりとりに誰からでもなく笑い声が発せられる
『フフフフフ』
「怖ーい」
「えりかちゃん、何かオバさんっぽい」
「えー、なんでー」
膨れっ面をするえりかちゃんにまた笑いを誘われる

雨があがる
幾つかのわだかまりを洗い流して・・・

「もうすぐ、夏だね」
舞ちゃんの言葉が耳に残った

581 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/08/22(水) 03:41:11 bA+zlC1/0
取りあえずここで一区切りです
昨日のうちに書き込むつもりでしたが
寝てしまいました
お話はもう少し続きます
続き貼るつもりでしたが馬鹿みたいな齟齬を見つけましたので
後日書き込ませていただきたいです


582 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/08/22(水) 16:33:28 1VuckOgc0
すみません
季節がめぐるように8と9の間のエピソードが抜けてました
一応貼らせてただきます
グダグダですみません

583 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/08/22(水) 16:35:41 1VuckOgc0
「なっきぃ、起きてる?」
ドア越しに聞こえる声にそっと身を起こす
「起きてるよ。栞菜どうしたの、もう遅いし早く寝ないと」
「うん、わかってる。でもなっきぃに話したい事があるんだ」
「なに?」
「入ってもいいかな」
「うん、いいよ。」
そう答えると静かにドアが開き、何かを決意したような栞菜の顔が
月光に照らされた
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
沈黙、かすかに聞こえる虫の声が夏がもう近いのを知らせる
「あのさ、私・・・」
「うん」
ためらいがちに発せられた栞菜の言葉に相槌を打つ
「私、熊井君の事好きみたい」
一瞬栞菜の言葉が理解できず、息が止まる
「なんで、私にそんなこと言うの」
なぜか、語気が強まる
「なっきぃ、熊井君と仲いいし。熊井君も多分なっきぃの事…」
「そんな事」
私の言葉を栞菜が遮る
「ごめんね。こんな話して。でも、なっきぃにはちゃんと話しときたかったんだ」
そう言うと「お休み」の言葉だけ残して部屋を去る栞菜

「そんな事、わざわざ言われても私は」
私の熊井君への想い。それは・・・
栞菜が居た辺りを見つめ虚空にそう返した

584 名前:夏の夜の怪(61) 投稿日:2007/08/22(水) 23:02:47 nacWogMZ0
●AM04:30

 スプレーの薬剤が充満しているキッチンにはしばらく入れそうもないから、栞菜と
千聖は、再び「重装備」に身を包み、家の中を「パトロール」に出かけた。

 もう室内の灯りをつけなくても歩けるほどに、外からの光は明るくなっていた。天
井裏への入口のところに来ると、さっき舞美ちゃんと栞菜が「噴射装置」でスプレー
をまいたときのまま、イスがふたつ並んでいる。

 「あれ?」
 「どしたの?」

 栞菜が首をかしげた。あのとき退治したはずの「ヤツら」の死骸が消えている。

 「さっき、3匹退治したはずなのに…、その死骸がない!」
 「えっ?!」
 「千聖、片付けた?」
 「いんや。片付けてないよ。ここにも来てないし…」

 「誰も来て…いないよねぇ?」
 「舞美ちゃん?」
 「舞美ちゃんも来てないでしょ」

 「じゃあ誰が?…」
 「だってあのとき、ちゃんと『潰した』はず…」

 二人は目を見合わせた。


585 名前:夏の夜の怪(62) 投稿日:2007/08/22(水) 23:07:18 nacWogMZ0

 「まさか…、生き返った?!」
 「そんなバカな!?」
 「どうしよう…、天井裏…、あけてみる?」

 もしも、退治したはずの3匹が生き返って逃げたのだとしたら、天井裏でスプレー
で「退治」したはずの、たくさんの「ヤツら」は、今どうなっているんだろう?。

 ほんの少しの沈黙のあと、栞菜が意を決するように言った。

 「確かめよう…」
 「えー、舞美ちゃんが起きてからでもいいじゃ〜ん」
 「だって、もし死んでなかったら、まだたくさんの『ヤツら』が生きているってこ
  とでしょ?、そしたらまた襲ってくるかもしれないんだよ?」
 「そんなこといったってぇ〜。たくさん死んでるかもしんないんでしょう?」
 「死んでたら死んでたで、それでいいじゃん。片付けは朝になってからでいいんだ
  し。今は確かめるだけ…」
 「でもなぁ…」

 「そうだ、舞ちゃんのサングラスを借りよう!」

 頭にタオルを巻き、サングラスをかけ、マスクをしたその姿は、二人が知るはずも
ないけど、まるで「月光仮面」のようであった。暑いけど、もうそんなことどうでも
良くなってきた「ノリのいい」二人だった。

 「よし、いくぞ〜!」
 「ウッス!」


586 名前:夏の夜の怪(63) 投稿日:2007/08/22(水) 23:13:44 nacWogMZ0

 ふたたびさっきの場所に戻ってきて、栞菜は入口のフタの取っ手に手をかけた。理
由もなく二人は息を止めてみた。フタをあけると、さっきのようにフンや卵は落ちて
こなかった。入口の近くにひもの切れた「スプレー噴射装置」が置かれていたが、死
骸は見当たらない。

 千聖が懐中電灯をつけて、入口から顔をのぞかせた。

 「ない…、死骸が、一匹もいない」

 電灯で照らされた先には、「おせんべいの缶」が倒れていたが、やはりその周辺に
も、奥のほうにも、「ヤツら」の死骸は一匹も落ちていなかった。

 「うそ…、信じられない…」
 「なんで?…」
 「どうしよう…、アイツら死んでないの?!…」
 「そんな…」
 「ちょっと私にも見せて!」

 千聖は唖然としてイスから降りた。入れ替わりに栞菜も懐中電灯を受け取って天井
裏をのぞいた。天井裏はどこを見渡しても、やはり「アイツら」の死骸は一匹も落ち
ていなかった。

 二人は呆然としたままリビングへ戻ってきた。

 「「「「そんな…」」」」

 えりかちゃん、私、愛理、舞ちゃんも、やはり二人と同じ反応だった。こんなとき
に栞菜と千聖がウソをついているとも思えない。でも二人の言っていることは、どう
考えても信じられない状況だ。


587 名前:夏の夜の怪(64) 投稿日:2007/08/22(水) 23:18:13 nacWogMZ0

 ずっとリビングにいた私たちと違って、栞菜と千聖は天井裏やキッチンで「激闘」
を重ねたはず。実際に舞美ちゃんはケガまでしているのに…。

 「ねえ…、キッチンは?…」

 舞ちゃんが口を開いた。みんなの目が、いっせいに舞ちゃんを見て、それからキッ
チンの入口のドアへと流れた。栞菜と千聖がそのドアに近づく。

 「まだ薬残ってるかもしれないからね」
 「気をつけてね」

 私たちは、二人の背後から声をかけた。さすがにキッチンの中を一緒に見る勇気は
なかったけど、二人を応援する気持ちだけは伝えたかった。栞菜がドアノブに手をか
け、千聖が右手にスリッパを、左手にスプレーを構える。

 「いくよ?」
 「OK」

 勢いよくドアを開けると、ほんの少し薬剤の匂いが流れてきた。

 「どう?…」
 「いや、ここからじゃ…」

 二人はそろりそろりと足を踏み入れていった。シンクにかぶせてあったネットが、
シンクの下に落ちている。シンクの中を、おそるおそるのぞいてみる。

 「いない…」
 「いない!」
 「なんで?!、ねえなんで?!」


588 名前:夏の夜の怪(65) 投稿日:2007/08/22(水) 23:23:18 nacWogMZ0

 シンクの中は「からっぽ」だった。あれだけたくさんの「ヤツら」を囲い込んで、
ネットをかぶせてスプレーをかけたのに。その死骸の一匹すらいなくなっていた。
栞菜が振り向こうとしたとき、足に当たったフライパンのところにも、舞美ちゃん
が退治したはずの「大ボス」の姿はなかった。

 「「いやあぁーーーっ!」」

 二人はわけもわからずに叫んでいた。キッチンを飛び出し、リビングに駆け込み、
ぴたりと立ち止まって、リビングの中を見渡した。

 「キッチンも、死骸がない…」
 「アイツら、死んでない…」

 二人は宙を見つめたまま、私たちにそれだけ伝えた。


589 名前:夏の夜の怪(66) 投稿日:2007/08/22(水) 23:28:55 nacWogMZ0
●AM05:00

 「とうとう朝になっちゃったね…」

 頭にタオルを巻き、サングラスで「武装」した舞ちゃんが、すっかり明るくなった
外を見つめながらそういった。

 「疲れたね…」

 両手に「武器」を持った千聖が、ソファに身を投げ出し、天井を見上げながらそう
いった。

 「まだまだ、本当の戦いはこれからよ…」

 えりかちゃんもやはりタオルを頭に巻き、「武器」をしっかりと手に構えながらそ
ういった。でも、その目はまだギラギラと緊張していて、部屋の中をじっくりと見回
しているのであった。

 戦いに疲れた「戦士」、舞美ちゃんと栞菜は、部屋の真ん中にぐったりと横になっ
て眠っている。私と愛理は、その二人を守るようにして、やはり部屋の真ん中で、周
囲を警戒しながらおびえているのであった。

 「ねえ…、ノラだ」

 舞ちゃんが庭を指さした。みんなの視線がいっせいにそっちを向く。そこには、ゆ
うべ「アイツ」を食べてしまったネコが、同じ場所で、こちらを見て座っていた。

 「あのネコ…」

 「…」


590 名前:夏の夜の怪(67) 投稿日:2007/08/22(水) 23:33:39 nacWogMZ0
●AM05:30

 「あ、あれ?…」
 「なに?、どうしたの?…」
 「んっ?、あれ?、眠ってた?私たち?…」

 さっき庭にいたネコを見てから、何分かの記憶が飛んでいる。みんなそろって眠って
しまっていたようだ。ネコはもう、庭から姿を消していた。私はいったい何が起きたの
か分からなくて、飛んでしまった記憶の部分を取り戻そうと、必死に思い返していたの
だけど…。

 「ねえ、さっきのネコ…」
 「ノラ?」
 「あそこで、私たちを見てたよね?」
 「うん、見てた」
 「ネコ見たら、眠くなった?」
 「眠らされた?」
 「え?、ネコに?!」
 「あのネコが?!」

 「それにさ、あのネコ、おなか膨らんでたよね?」
 「あ、私もそれ見た!、なんだかすごい膨らんでた」

 「…」

 それっきり、わたしたちは言葉を失ってしまった。お互いに顔を見合わせ、起きた
ことが理解できない…、というよりも、理解したくないような雰囲気だったから。


591 名前:夏の夜の怪(68) 投稿日:2007/08/22(水) 23:39:29 nacWogMZ0

 話しの流れを変えようと思ったけど、いい話題がなさそう…。

 「あ、愛理!。ホイホイハウスは?」
 「あ、そうだ!、かかってるかも!」

 リビングには、ホイホイハウスを3つ仕掛けていたはず。私はそれらを置いた場所
をチェックしてみた。

 「あっ!、でも…、どうして?!」
 「やっぱり…」

 ホイホイハウスには、3つとも、「ヤツら」が捕まった形跡が残っていた。でも、
触角や足が残っているだけで、「ヤツら」の死骸とか、本体とかはひとつも見つから
なかった。

 私は庭に飛び出して、さっきのネコが座っていたあたりを見回した。なにかヒント
になりそうなものがないかと思ったけど…。

 「毛…?」
 「えりかちゃん、この毛、キッチンで見たのとおんなじ?!」

 えりかちゃんも私に続いて庭に下りてきていた。

 「どれどれ?、あ、そう。そうだ。やっぱりあのネコ…」
 「キッチンにいたんだ…」
 「じゃあ、おのお腹は…」

 私もえりかちゃんも、同じことを想像して震え上がった。


592 名前:夏の夜の怪(69) 投稿日:2007/08/22(水) 23:45:27 nacWogMZ0

 とはいえ、家の中には「ヤツら」の死骸が見当たらず、生き残った「ヤツ」もいな
いだろうということになって、リビングとキッチンの空気を入れ替えようと、窓を全
部開け放った。舞美ちゃんと栞菜はまだ寝ているけど、全然起きそうにないし。

 「今日はお昼寝しなきゃね」
 「っていうか、朝から寝るでしょ(笑)」
 「でも、やることもたくさんあるんだなあ」
 「あるねえ、お掃除とか修理とか…」
 「まずシャワー浴びたいかな」
 「私もそう!」

 「いったいなんだったんだろね。ゆうべは…」
 「わかんない。でも疲れた」

 朝日がさんさんと降り注ぐリビングで、わたしたちは昨日の夜の大騒ぎを、なんだ
かもうなつかしい出来事のように思い返していた。

●AM06:00

 昨日の「不法投棄」されたゴミを片付けるために、おとなりの山寺さんがやって来
た。垣根越しに、庭で深呼吸をしているえりかちゃんと舞ちゃんの姿が見えた。

 「『おは〜!』、えりかちゃん、早起きだねえ。なんだ?、朝から大掃除?」
 「おはようございます。ええ、似たようなもんです」
 「やまちゃん『おは〜!』、舞も手伝ってんだよ〜」
 「『おは〜!』、舞ちゃんも早起きだねえ」
 「あ、ゴミですね?、ありがとうございます」

 えりかちゃんと舞ちゃんは、山寺さんのほうに駆け寄った。


593 名前:夏の夜の怪(70) 投稿日:2007/08/22(水) 23:54:34 nacWogMZ0

 「いえいえ、どうってことないですよ。あれ?、あれえ?…」
 「どうしたんですか?」

 山寺さんは3つのゴミ袋を持ち上げて、不思議そうな顔をしている。

 「中身がカラッポみたいだねえ、コレ」
 「あっ、ゆうべネコがあさってました!」
 「そう?、でもね、どっこも穴が空いてないみたいなんだけど…」
 「あれえ?、ホントだ…」

 中身こそ見ていないものの、昨日は確かにパンパンに膨れていたゴミ袋だったのに、
山寺さんが持ち上げている「それ」は、まったく何も入っていないかのようにしぼん
でいた。

 「どういうこと?」


594 名前:夏の夜の怪(71) 投稿日:2007/08/23(木) 00:04:01 nVJQjvtv0
●AM09:00

 朝一番で電気屋さんに来てもらい、クーラーがつかなくなった原因を調べてもらった。
裏にある配電盤に、黒焦げになった「ヤツら」の一匹が落ちていたということだ、ど
うやら「そいつ」がクーラーの配線だけをショートさせたらしい。キッチンの照明も
修理してもらった。

 やっと起きだして、ボーッとしていた舞美ちゃんに、舞ちゃんが話しかけてきた。

 「舞美ちゃん、昨日のネコいたじゃん?、ノラ」
 「うん、いたねえ」

 舞ちゃんは、あのネコが「アイツ」を食べたシーンを目撃していない。

 「あのネコねえ、実は宇宙人だったんだって」
 「宇宙人?、なんだそれ?!」
 「遠い星からねえ、敵の宇宙人を追いかけてきたんだって。敵の宇宙人はね、地球
  を侵略しに来たんだけど、あのネコの宇宙人はそれを止めるために来たんだって」
 「うっそ〜?!」

 舞美ちゃんには「舞ちゃんの作ったおとぎばなし」くらいにしか思えなかった。

 「だってそう言ってたんだもん。それでね、敵の宇宙人を全部退治できたんだって、
  だから帰っちゃうって。『みなさんのご協力に感謝します』って、言ってたよ」

 「マジ?…」

 舞美ちゃんはじっと庭のほうを、あのネコがいた場所を見つめていた。

おしまい


595 名前:夏の夜の怪(72) 投稿日:2007/08/23(木) 00:09:37 nacWogMZ0
●エンドロール

             「夏の夜の怪」

       −− テーマソング・イメージ −−

  ザ・バスターズ・ブルース  森高千聖
                   (作詞:森高千里/作曲:斉藤英夫)

        −− 挿入歌・イメージ −−

       まっくら森の歌  谷山浩子
                   (作詞:谷山浩子/作曲:谷山浩子)

        せんこう花火  モーニング娘。
                   (作詞:つんく/作曲:つんく)

        −− キャスト・イメージ −−

          矢島 舞美   矢島 舞美
          矢島えりか  梅田えりか
          矢島 早貴   中島 早貴
          矢島 栞菜   有原 栞菜
          矢島 愛理   鈴木 愛理
          矢島 千聖   岡井 千聖
          矢島 舞.   萩原 舞

          やまちゃん   山寺宏一
              ノラ  ???


596 名前:作B ◆SAKubqyuTo 投稿日:2007/08/23(木) 01:27:27 nVJQjvtv0
ども、やっとこさ終わりました。

 はじめはストレートに「コックローチホラー」を目指していたんですが、
栞菜ややまちゃんのエピソードを追加していくうちに、どんどん肥大
化していってしまいました。これでもまだかなり削ったんですよw。

 例によって本編にはテーマソングがあります。森高千聖の曲ですが、
ストーリーはほぼこれをヒントに流用しています。また、挿入歌も2曲
入れてみました。それぞれのシーンをイメージするのによろしいかな、
なんて思いまして。

 音源ない方は、音質あんまりよくないですけど下記からどうぞ。
(パスは例によってこのレスから…)
ttp://www4.axfc.net/uploader/14/so/Li_32633.lzh.html

 「まっくら森の歌」は、手元に音源なかったため、ぐぐったらFLASH
を見つけましたんで(無断リンクですけど)、フインキだけでも。
ttp://www.geocities.jp/route_219/flash/makkura.html


 私が投稿しているあいだにも、いろんな方が作品をあげてくださり、
スレがにぎやかになっててうれしい限りですね。それぞれの皆さんの
℃-uteメンバーへの情熱が感じられて頼もしいです。

 またしばらくおとなしくしていようかな、と思いますが、なにかに
釣られてダダッと書き出すかもしれません。

でわでわ、
 引き続きみなさんのツッコミお待ちしております。


597 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/08/23(木) 15:01:46 MzUKuZbvO
>>596

作Bさん乙です

楽しく読ませて頂きましたっ
ちょいと気持ち悪くていい感じにぞくぞくしましたよw
次回作期待してますんで´ω`

598 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/08/23(木) 20:29:00 5AoBpeQR0
>>570
>この七人が一緒に住んでると絶対!!犬を飼ってると思うんですよ。
>で、何か℃-uteに縁がある名前がないかなあ、と。

調べてみた。

〇えりか・ラム・ミュー・ルナ
〇舞美・コロン・ルーキー(+子犬)
〇早貴・レモン
〇愛理・メリー・ラッキー・パピちゃん・リズム・クリア・ウィン
〇千聖・リップ・パイン
〇舞・マロン・チャッピー(うさぎ)
〇栞菜・無し

たしかに犬多いね。てか飼ってないの栞菜だけじゃん
名前候補もいくつか考えてみた

・メグ(自分で書いててあんまりなので却下)
・ガッタス(仔犬の場合はリトルガッタス)
・ボーノ(デブそうw)
・スタフィー(これけっこうお気に入り)

お話書く人は気にいったのがあったら使ってくださいませ

599 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/08/23(木) 21:48:25 erspmxpe0
作Bさん乙!!
オカルトかと思ったらSFとは・・・面白かったですよ!!

600 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/08/24(金) 19:20:06 LO8ymeBZ0
>>561
ちょっと直してみました。
みんなでこだわりのある所やキャラをどんどん改変していき、このスレで最終的に貼られたものを
次スレのテンプレとして使いましょうよ。

長女 舞美  高二 母親代わりを自認し頼れる力持ちだがドジ。基本的に大雑把。
次女 えりか 高一 何事もユーモアで切り抜ける現代っ子だがナイーブな一面も。舞美好き。
三女 早貴  中三 優等生でしっかり者。フォローにまわる損な性格。あだ名は泣き虫さき=なっきぃ。
四女 栞菜  中二 ちゃっかりした性格でイケメン・恋バナに目がない。感受性が強く、センスが変。
五女 愛理  中一 女の子らしく優しい。あがり症で大人しいが、マイクを持つと性格が豹変。
六女 千聖  小六 男勝りで正義感が強く、やんちゃ。実はリボンや花柄が好きな女の子らしい面も。
七女 舞   小五 自由奔放でマスコット的存在。ツッコミが鋭い。趣味はサングラス集め。

601 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/08/26(日) 05:16:34 D9ne+Q9C0
リ ・一・リ<はい。今日も都会の片隅からお届けする
リ ・一・リ (o・ ・)<矢島家れでぃお
リ ・一・リ<略して
リ ・一・リ (o・ ・)<やじらじ
(o・ ・)<パーソナリティは私たち二人
リ ・一・リ<芝生があったら走りたい。いつも元気なMCチッサーと
(o・ ・)<誰も私を止められない。 DJマイマイでお届けします

〜ジングル〜
(o・ ・)<いつも超カワイイって言われたいねん
リ ・一・リ (o・ ・)<マイマイとチッサーの『やじらじ』
(o・ ・)<チェケラッ!

リ ・一・リ<ハイ
(o・ ・)<ハイ
(o・ ・) リ ・一・リ<フフフ
リ ・一・リ<最初のコーナー行きたいと思います
(o・ ・)<思いましゅ
リ ・一・リ<フフフ、思いましゅ
(o・ ・)<もー、それぐらい流せー
リ ・一・リ<毎回、矢島家のメンバーを迎えてバトルトーク
(o・ ・)<流すとこちがーう
リ ・一・リ<フフフ、しちゃうこのコーナー
リ ・一・リ (o・ ・)<『style Y』
リ ・一・リ<今回は特別にメンバーを2人も呼んじゃいました

602 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/08/26(日) 05:17:47 D9ne+Q9C0
リl|*´∀`l|<こんばんは。矢島家のクールビューティー次女のえりかです
从・ゥ・从<こんばんは。矢島家が何時までも幸せであることを
       夢見ている長女の舞美です
リ ・一・リ リl|*´∀`l| (o・ ・)<パチパチパチ
从・ゥ・从<この拍手はなにー
(o・ ・)<だって噛まなかったじゃん
リl|*´∀`l|<舞美すごいよ舞美
从・ゥ・从<なんか嬉しく無い
(みんな)<フフフ

リ ・一・リ<今夜はこの4人で栞菜ちゃんと早貴ちゃんの
       お話の結末についてバトルトークしちゃいます
リl|*´∀`l|<イエーイ
从・ゥ・从<ガーって行くよ。ガーって
(o・ ・)<変なテンションの二人は置き去りで
リ ・一・リ<お話を振り返ってみたいと思います

603 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/08/26(日) 05:21:37 D9ne+Q9C0
大粒の雨は粗末な作りのバス停の屋根を激しく打ちつける
人通りもまばらになり雨音だけがこだまする
「栞菜、やっと見つけた」
独りベンチに腰かける栞菜の姿を認め安堵が広がる
「なっきぃ・・・。」
「ほら、帰ろう。みんな心配してるよ」
栞菜の隣に腰かけ語りかける
「栞菜らしくないよ。そうやって、うつむいて下ばかりみて」
「だって、それは」
「どんなときも、負けず嫌いで前向きなのが栞菜でしょ」
「そんな、そんな勝手な事言わないで。なっきぃにはわからないよ。私がどれだけ・・・」
「うん。わかんないよ。だけど、こんなの違うよ」
しっかり栞菜の瞳を見据える
「約束したよね、どっちが先に彼氏できるか競争するって。まだ決着ついてないよ」
「・・・・・」
「終わってもないのに負けを認めるの?」
「終わってない?」
「そうだよ、ほら立って。もう遅いし帰ろ」
栞菜の手を引き家路を急ぐ
あんなに激しかった雨は何時しか雨脚を弱めた
「栞菜おなか空いてない?」
「うん」
私は黙ってポケットの中のものを差し出す
「なっきぃ、ミカン好きだね。ってか、ポケットから出すのおかしくない?」
「キュフフ」

604 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/08/26(日) 05:23:36 D9ne+Q9C0
ミーンミーンミーン
セミの声がけたたましく響き渡る
「なっきぃ、ちょっと派手じゃない?」
鏡に向かいいつもより派手目にメイクする私を栞菜が茶化す
「せっかくの花火だし今日ぐらい良いじゃん」
舞ちゃんがすかさずフォローを入れた
その後の「でもちょっと派手すぎ」は聞かなかったことにした

「ほらー、みんな行くよー」
舞美ちゃんが慌ただしくみんなを急かす
「おいてくよー」
甚平姿のえりかちゃんも隣で声を挙げた
『はーい』
私たちは声をそろえ二人に答えた

605 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/08/26(日) 05:25:13 D9ne+Q9C0
色とりどりの花火が空を明るく染める
「きれー」
「すごーい」
姉妹たちは口々に感嘆の声を漏らす

私はみんなの輪を離れ独り歩き出す
小さい頃からのお気に入りの場所
花火のよく見えるその場所を目指し歩みを進める

「なかさきちゃん、やっぱり来たね」
「熊井君」
花火を打ち上げるけたたましい音が胸を揺さぶる
「僕ね、転校する事になったんだ」
聞こえない。違う、聞きたくない
「えっ」
動揺のあまり言葉が出ない
「急に、親の転勤が決まって。それについて行く事にしたんだ」
「うん」
「それで、どうしてもなかさきちゃんだけには伝えたくて」
「そんなこと、言われたって何も」
「わかってるよ。何も言わなくていい。話せて良かった」
熊井君は最後に微笑むと手を振りながら去っていった

606 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/08/26(日) 05:31:16 bE4x0BMz0
私はこぼれ出そうになる涙を必至で堪えた
熊井君に心配をかけないように
それでも溢れる涙に思わず空を見上げる

涙でにじんだ空に打ちあがる花火はまるで万境鏡を覗いた様で
綺麗だった

最後の花火の火花が消える
祭りの後・・・
さみしさにも似た感情が込み上げる
「やっぱりここにいた」
「捜したんだかんな」
栞菜、舞ちゃん、千聖、愛理、えりかちゃん、舞美ちゃん。大切な家族
季節がめぐるように私たちは数々の出会いと別れをを繰り返す
でも、もう私は泣かない。みんながいるから
そして、どこかで私を励ましてくれる「なかさきちゃん」の声が聞こえるから

607 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/08/26(日) 05:32:42 bE4x0BMz0
リl|*´∀`l|<ほんと、なっきぃ泣かなくなったよね
(o・ ・)<一つ大人への階段を
リ ・一・リ<登った訳です
从・ゥ・从<なんか二人が言うと説得力ない
(o・ ・) リ ・一・リ<ひどーい
リl|*´∀`l|<フフフ

リ ・一・リ<そんな訳で残り時間も少なくなって来ました
(o・ ・)<最後にお送りする曲は
リl|*´∀`l| 从・ゥ・从 リ ・一・リ (o・ ・)<YES!しあわせ


608 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/08/26(日) 05:46:09 Om/jg//X0
>>601−607
季節がめぐるように・・・の続きです
タイトル入れ忘れました

>>596
乙です。改めてはじめから通読させていただきました
文章が柔らかく楽しく読ませていただきました
私も次作楽しみに待たせていただきます


609 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/08/26(日) 20:27:14 MMEOXpH+0
七姉妹ご近所図鑑

〇マスクド・K・タロー
JOQRプロレス所属・試合よりマイクの時間の方が長く、何故か対戦相手を褒めまくるという
意味不明のマイクアピールが人気の謎のマスクマン。

その奇抜なマスクとスタイルが、たまたま深夜の試験勉強の合間にプロレス中継を見てしまった
栞菜の(ちょっと他人とズレてる)琴線に触れ、千聖とマイを巻き込んでのプチ・プロレスブームが起きる。
三人の間では今日もオリジナル新技の開発と命名に余念がない。

実は意外と近所に住んでいて、スーパーの惣菜売り場あたりですれ違ったりしているが
素顔はただの中年オジサンなので誰も気付かない。


…いや栞菜ってちょっと変なところがあるよね!?って思って。
初デートのイメージで「祭り」連呼したり、新技「クロスロード」命名とか、
スポーツは?って訊かれて「廊下を走るくらいかな」って平然と答えたり…。
愛理と気があうのもわかる気がする。

610 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/08/26(日) 20:31:08 MMEOXpH+0
連投スイマセン
作家のみなさん乙であります。
顔文字形式ってのもけっこう楽しいね。気軽に書けるし。

611 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/08/26(日) 23:15:33 DG05GbUjO
チッペの顔w

612 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/08/27(月) 22:37:23 zny8ndFB0
設定マワリの話でご相談。。。

 七姉妹それぞれのクラスメイトというか、同級生を Berryz、
もしくはハローのメンバーから当てはめるとすると、どうなり
ますかね?

>>1 だと7人の実年齢とは微妙に組み替えてたりするんで、
イメージとして、どんなんがいいかな…と。

 千奈美に私のイメージではこんな感じ。。。

高二:舞美  →(なし)
高一:えりか →清水、嗣永
中三:早貴  →須藤、夏焼
中二:栞菜  →徳永、熊井
中一:愛理  →久住、光井
小六:千聖  →菅谷
小五:舞   →(なし)


613 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/08/27(月) 22:41:48 phPgUQjX0
個人的意見だけどなっきーの同級生は熊井ちゃんが・・・
てことで

高二:舞美  →清水、嗣永
高一:えりか →、夏焼、徳永
中三:早貴  →熊井、須藤
中二:栞菜  →久住、光井
中一:愛理  →菅谷
小六:千聖  →エッグから適当に
小五:舞   →エッグから適当に

614 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/08/28(火) 22:12:30 YKxHBngm0
>>613
 レスありがとん。

>>なっきーの同級生は熊井ちゃんが・・・

 これってなにかエピソードとかありましたっけ?
 まったく知らないので教えていただけると助かります。


 で、ネタ的に舞美と清水は同級生にしたくないんだけど、
清水と嗣永は同級生にしたいんですよねえ…私としては。w

 徳永と熊井は同級生のほうが面白いと思うんだけど、いかが?

 須藤は中三でOKだと思いますね。夏焼が微妙w。

 くっすみはね、愛理と同級にすると面白いと思うんですよ。対照的で。


まあ勝手なことばっかり言ってますが、他の方からもご意見募集w。


615 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/08/29(水) 09:57:48 XOEoylMuO
>>614
なっきぃと熊井ちゃんは同い年ということも知らないということですか?

616 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/08/29(水) 10:53:47 0YZNeBW70
>>615
あくまでも設定の話っしょ?>>612>>1を引用してんだから、実年齢の話はさておいて…だと思う。
オレはゆりちなは同級生じゃないほうが面白いと思う。思うだけだけどな〜。


617 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/08/29(水) 21:09:44 C6mxjmlp0
>>609
>…いや栞菜ってちょっと変なところがあるよね!?

ようつべでDVDマガ3観れたけど栞菜の言語感覚やっぱ変だね
気合入れの掛け声で『もし!!』ってw

あと愛理と千聖が非常に仲良さそうで萌えたス(;´Д`)

618 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/08/29(水) 22:48:54 DjZrAJTx0
>>615
>>616 さんがフォローしてくださってますけど、あくまでもネタとしての
設定を意識しています。梅さんとまいみぃは同級生だけど、「七姉妹」
というからには、同い年にするのはつらいわけで…(まあ双子ってのも
アリかもしんないけどw)。

それで、七姉妹のクラスメイトやら同級生やらを登場させるとしたら、
やっぱしベリーズのメンバーも登場させてみたいわけで、そのときに
どんな対応にしたらいいかな…、というのが、>>612 の主旨です。

なっきぃとくまさんを同級生にすると、その凸凹ぶりでネタにできそうな
気もして面白いかもですね。。。

>>616 さん、Thanks!


619 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/08/30(木) 14:04:41 OJVdYqrCO
>>618
失礼いたしました

ちなみに双子じゃなくても同い年の兄弟って聞いたことありますよ!

620 名前:テンプレ案 投稿日:2007/08/31(金) 01:05:47 VSiThC5A0
(気がつくとこのスレも453KBなんですね。なのでテンプレ作ってみました)

℃-ute七姉妹物語

基本設定:「℃-uteの七人が姉妹だったら?」のみです。
・℃-uteが七姉妹役やるドラマが観たい!!
・でもテレ東がやってくれないから自分達で描く!!
・自由に何でもありで描いていきましょう。

基本仕様:
・ほのぼのアットホーム。クサくてもベタでも可。Hは控えめに。
・「こんなシチュエーションは萌える」的なネタ投稿も歓迎!
・お話進行時以外は ℃-ute関連なら多少のスレ違いでもOK。

基本イメージ:(土台として…。必ずしもこの通りにする必要ないです)
・歌と音楽は姉妹を結びつけるキーワード(親の影響か?)
長女 舞美  高二  陸上部(幽霊部員)
 母親代わりを自認し頼れる力持ちだがドジ。基本的に大雑把。
次女 えりか 高一  帰宅部
 何事もユーモアで切り抜ける現代っ子だがナイーブな一面も。舞美好き。
三女 早貴  中三  文芸部
 優等生でしっかり者。フォローにまわる損な性格。あだ名は泣き虫さき=なっきぃ。
四女 栞菜  中二  新体操部
 ちゃっかりした性格でイケメン・恋バナに目がない。感受性が強く、センスが変。
五女 愛理  中一  吹奏楽部
 女の子らしく優しい。あがり症で大人しいが、マイクを持つと性格が豹変。
六女 千聖  小六
 男勝りで正義感が強く、やんちゃ。実はリボンや花柄が好きな女の子らしい面も。
七女 舞   小五
 自由奔放でマスコット的存在。ツッコミが鋭い。趣味はサングラス集め。


621 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/08/31(金) 21:40:45 4Q/KRr7v0
>>620
いいですね
ハッ! しかも気がつけば部活動まで!!

キャラの基本イメージの部分は各作者・読者さんのこだわり、または現実の℃-uteメンのキャラ変化にあわせて
いつでも自由に改変していきましょう
ここ考えたりイジってるだけでも楽しいかもしれないですw

622 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/01(土) 01:37:48 4Q039Ees0
「天コケ」見てきました。素直にいい映画です。

 全編夏帆、というか主人公「そよ」のイメージビデオみたいです。

自然はなにも語らないけどものすごい説得力があるね…みたいな。

忙しさに追われている日本人でも、だれもが心に持っているような。

今やそっちのほうが「憧れの世界」にも見えてきそうな気がします。

で、

℃-ute見ててもそんな気がするのは、決して気のせいじゃないかなと。

623 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/02(日) 10:59:23 LCbx81oY0
>>620
栞菜のキャラ

>イケメン・恋バナに目がない。

は今なら逆に「男嫌い」に変更になりそうな気がw
作品世界的には>>372のエピ「ゴールデン初デート」 で男の子に裏切られたためという理由もつけられる。
賛否求みますw


624 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/02(日) 11:41:57 zJFYEdol0
>>623
これも意見のひとつとして聞いてね。
「男嫌い」っていうと、どこか潔癖症なイメージがあるんだけど、
栞菜はそんな感じしないなあ。>>372で「男嫌い」になったかって
いうと、それほどめげてもいないんじゃなかなあ、とか思ったり。
最近変態℃が上昇してるらしいけど、逆に「女好き」かっていうと
そうでもなさそうだし…。まあ>>620も「必ずしもこの通りにする
必要ないです」って書いてあるし、書く人の都合に合わせて一時
的に性格変更するのは全然OKだと思う。「栞菜=男嫌い」での
エピソードなんかも、結構書けそうな気もするし…(オレ?、ちょっと
ムリw)。

625 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/02(日) 14:18:16 nSb5fBfF0
いまからでもパパはニュースキャスターの設定をパクってみるのもありw
一応姉妹にはなります。苗字・学年等も特にいじることもなくできるけど

626 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/02(日) 15:40:10 YvmiQneU0
愛情の愛と書いてめぐ・・・・・・いやあああああああああああああ

627 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/02(日) 16:05:21 jRLoWC2r0
>>624
さすがに狼みたいに「ガチレズ」とは書けないんで(あそこはあそこでネタとして楽しんでるんだろうけど)
「男の子がちょっと苦手」程度でいいのかな

>>625
それ面白そうだけどむずかしそうよ
何で一堂に会して住む事になったのか?とか父親のキャラとか『決め事』が多くて、
最初に世界観と設定を構築して、それを説明しつつ読ませるエピソードを作る人は大変だと思う
逆を言えば誰かができるんなら読んでみたいス。
既存の話とは別ラインで平行して進めればいい訳ですし。


628 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/03(月) 21:18:10 0dY7xdkw0
>>625
 全員違う生い立ちを持つとなると7人分のエピソードとママが必要になるわな。
まあ、うち何人かは実際の姉妹にしてもいいけど。とかく芸術家は女好きが多い
というしw。いや、実はパパは007ばりのスパイで、各地で協力したパートナーとの
「愛の成果」だったり?。そうするとそれぞれのママはある種のエキスパートぞろい
なわけで、その娘たちが集結したらそれはそれで面白いことになるわけで…。
 以上勝手な妄想ねw。

629 名前:作家1号と申します 投稿日:2007/09/03(月) 21:35:41 817bcvlu0
ようやく「これでいけそうかな!?」というヤマとオチが思いついたので書きはじめました。遅筆です。
いや宣言でもしとかないと進まなくて・・・・・・。近いうち貼りたいス。
多作の人は凄いなあと思う今日この頃。

>>628

自分が七姉妹のテーマとして考えた・書きたいのは『家族の絆と姉妹愛』
今書いてる話もストックしてあるネタもテーマとして『それ』があったり。
家族の絆ってのは、長い時間を共に過ごし、笑ったり泣いたり色んな思い出を共有してきて生まれるものだと思ってるので
ある日突然「実はみんな姉妹だよ」で集まる「パパはニュースキャスター」式の家族設定は自分はむずかしいです。

ただ上記の理由で、自分はベリメン他ハロメン出す気は無いけど、
ハロメン絡めて楽しいのも面白そうなので別設定で進めるシリーズもありかも。
基本設定があがれば自分もコメディはそっちで書けそう。





630 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/04(火) 21:04:35 7mEdAFG80
>>625
パパはニュースキャスター風七姉妹序章を考えてみました。
例えばこんな感じって考えてみただけだからすんごいベタです。

・2004年春
 大荷物を抱えて都会の雑踏の中を歩く愛理、どうやら迷子になった模様。
 ふと聴こえてくるピアノの音色、量販店のTV画面の中でピアノを弾いている優しそうな人物、
 画面を見つめる愛理。
 同時刻、いろんな場所で同じTV画面に目を奪われる少女たち、いっせいに呟く。

 「パパ!」

・竜太郎(仮名)は世界的に知られた音楽家。
 一見真面目風の二枚目だが、実は女性をくどくのが趣味のかなりの遊び人。

・ある日、自宅で作曲中の竜太郎の元に、娘だと名乗る少女たち春休みを利用して
 次々と訪ねてくる。

 ・ある少女は歌手になりたいけど母親に反対された・音楽家のパパの下で修行して
  手デビューしたいという(愛理)
 ・ある少女はパパお金持ちなんでしょ?バッグとかアクセとかいっぱい買ってもらおうと
  思って(えりか)
 ・ある少女はあ「パパは独りで愛情に飢えてるはず、私がそばにいてあげないと」という
  激しい思い込みで(舞美)
 ・ある少女は「お母さんが亡くなって親戚中たらいまわしにされて虐められて、
  耐えられなくなって(早貴)
 ※など、やってきた理由でキャラの個性を出す。

・突然の娘の訪問に驚く竜太郎、多くの姉妹がいた事に驚く少女たち。互いに軋轢。
 だが自分達を娘だと認めようとしない、TVの優しいイメージとは違う冷たくて最低な態度の
 パパ竜太郎に少女たちは結束、春休みの間全員で竜太郎の家に居座る事にする。

631 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/04(火) 21:05:49 7mEdAFG80

・突然の娘の訪問に驚く竜太郎、多くの姉妹がいた事に驚く少女たち。互いに軋轢。
 だが自分達を娘だと認めようとしない、TVの優しいイメージとは違う冷たくて最低な態度の
 パパ竜太郎に少女たちは結束、春休みの間全員で竜太郎の家に居座る事にする。

・絶対に自分達を認めない竜太郎だが、ほんのしばらくいっしょに暮らすうち、少しずつ
 少女たちに理解を示すようになる。口調は変わらず冷たいが、少女たちを思いやり
 優しい態度も見せるようになる。
 ※いつつかのエピソードが必要

・「やっぱりパパはいい人なんだね」と娘たちが思い始めた束の間、急に怒り出す竜太郎。
 「俺はお前らのパパなんかじゃない!もう春休みも終わりなんだろ、家に帰れ!」
 と怒鳴って少女たちを追い出してしまう。
 バラバラになる少女たち。ひとりピアノに向かいあせって楽譜を書く竜太郎。

・そして竜太郎あっさり病気で死亡。
 葬式のあと、竜太郎の家に再び集まる少女たち。
 竜太郎は不治の病で、自分の寿命があとわずかだと知っていた事、
 そのためにパパだよと優しくするとみんなをつらくするから突き放していた事を知る。

・パパが最後に書き上げた楽譜を見つける。愛理がそれをピアノで弾く。
 優しい調べ、楽譜に書きなぐられたタイトルは「マイガール」
 涙する七人。

632 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/04(火) 21:11:26 7mEdAFG80
・「春休みも終わっちゃったね」「これからどうする?」
 気が抜けたまま相談する七人。
 そこに謎の女性が登場。
 「とうとう死んじゃったの、それならもう少し早く帰ってきてやればよかったかしら」
 女性、竜太郎の妻だと名乗る。驚く七人。
 しかし亡くなった竜太郎への哀しみと愛情を感じないその態度に怒る七人。
 「あんたなんかにパパの遺産は渡さない、この家は私達が守る!」
 と宣言する七人。

・こうして異母七姉妹の奇妙な共同生活が始まった。
 (つづく)


こんな感じ
何故2004春かっていうとベリが結成された年に自然と℃-uteの絆が生まれたって事で。

これだと、℃-uteメン実年齢実学年そのままでドラマにできるし、
名前(苗字)もそのままで学校に通い、で家に帰れば姉妹としていっしょに住んでいる、という
理想的な萌えシチュエーションができあがる。ベリメンとの競演も楽にできる。

どっちの初期設定が面白いと思うかは読み手さん次第ですね…。
>>631一部ネタ被ってますね、スイマセン

633 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/04(火) 22:51:13 6Wkuvqqn0
>>630
 な、なんかいい感じだ…w。

 作家1号さんの思い描いている家族像を出すには難しいけど、
パラレルに進行させる(といっても時系列は異なるよね)には、
結構面白いかもしれない。

634 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/04(火) 22:53:30 6Wkuvqqn0
>>629
 首を長くしてお待ちしておりますw。

635 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/04(火) 23:44:42 7mEdAFG80
>>633
いえ、時系列は既存のシリーズ同様現在でいいと思うんです。
で、テンプレに下のような一文を加えて
          ↓
ある出来事をきっかけに一つ屋根の下で暮らすことになった異母姉妹七人の物語。

長女 舞美  高一  陸上部(幽霊部員)
 母親代わりを自認し頼れる力持ちだがドジ。基本的に大雑把。
次女 えりか 高一  帰宅部
 何事もユーモアで切り抜ける現代っ子だがナイーブな一面も。舞美好き。
三女 早貴  中二  文芸部
 優等生でしっかり者。フォローにまわる損な性格。あだ名は泣き虫さき=なっきぃ。
四女 栞菜  中二  新体操部
 ちゃっかりした性格でイケメン・恋バナに目がない。感受性が強く、センスが変。
五女 愛理  中一  吹奏楽部
 女の子らしく優しい。あがり症で大人しいが、マイクを持つと性格が豹変。
六女 千聖  中一
 男勝りで正義感が強く、やんちゃ。実はリボンや花柄が好きな女の子らしい面も。
七女 舞   小六
 自由奔放でマスコット的存在。ツッコミが鋭い。趣味はサングラス集め。


で「℃-uteメンは実年齢と同じがいい!」ってこだわりがある読み手・書き手が多ければ
こっちをメイン設定にしてもいいのかなあ、と。
あとは同じ、今まで同様『この七人がいっしょに住んでる姉妹』だけが縛りの七姉妹物語が続く、と。

それで「何でいっしょに住んでんだ?ある出来事って何だ?」ってツッコミ用に
「実は>>630-632みたいな物語があったんだよ」程度の裏設定があればいいかなと思って。
だから2004春・序章はお話として書かなくてもいいんじゃないかな、と。大変そうだしw

636 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/07(金) 00:15:28 2xZ5EGjC0
●テーブルトーク(1)

えりか:「この中にひとり、点心をつまみ食いしたヤツがいる…」
 一同:「(な、なんだってぇ〜!)」
えりか:「お前だっ!(指さす)」
 栞菜:「えっ!?、私じゃないよ?!」
えりか:「じゃあ、九九の『2の段』を言ってみろ」
 栞菜:「ニイチが2、ニニンが4、ニサンが6、ニシが8、
     ニゴ10、ニロク12、ニシチ14、ニハ16、
     肉汁たっぷり…」
えりか:「お前だあーーっ!!」

●テーブルトーク(2)

えりか:「この中にひとり、なっきぃに買い物を頼まれたヤツがいる…」
 一同:「(パ、パシリなのかぁ〜!)」
えりか:「お前だっ!(指さす)」
 舞美:「えっ!?、なんで私が?!」
えりか:「じゃあ、『五十音』を言ってみろ」
 舞美:「あ、い、う、え、お、
     か、き、の、た、ね…」
えりか:「お前だあーーっ!!」


637 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/07(金) 00:16:59 2xZ5EGjC0

●テーブルトーク(3)

えりか:「この中にひとり、『アル中』がいる」
 一同:「(そ、そんなバカなぁ〜!)」
えりか:「お前だっ!(指さす)」
 早貴:「えっ!?、私違うよ?!」
えりか:「じゃあ、『三鷹』って10回言ってみろ」
 早貴:「三鷹〜、三鷹〜、みたか〜、みたか〜、ミタカ〜、
     タカミー大好き」
えりか:「お前だあーっ!!」

●テーブルトーク(4)

えりか:「この中にもうひとり、『アル中』がいる」
 一同:「(またまた、そんなバカなぁ〜!)」
えりか:「お前だっ!(指さす)」
 愛理:「えっ!?、またまた私違うよ?!」
えりか:「じゃあ、『十二支』を順番に言ってみろ」
 愛理:「ねー、うし、とら、うー、
     タカミー大好き」
えりか:「お前だあーっ!!」


638 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/07(金) 00:18:45 2xZ5EGjC0

●テーブルトーク(5)

えりか:「この中にひとり、プロがいる」
 一同:「(だ、だれなんだ〜っ!)」
えりか:「お前だっ!(指さす)」
 千聖:「えっ!?、そ、そうなの?!」
えりか:「じゃあ、『五十音』を横に言ってみろ」
 千聖:「あ、か、さ、た、な、
     は、ま、やぁですよも〜!」
えりか:「お前だあーっ!!」

●テーブルトーク(6)

えりか:「この中にひとり、タシーロがいる」
 一同:「(タシーロキターーッ!)」
えりか:「お前だっ!(指さす)」
  舞:「えっ!?、なんで私?!」
えりか:「じゃあ、『ディスコクイーン』を歌ってみろ」
  舞:「♪Disco, Disco, Di, Di, Di, Disco!
      Disco, Disco, Di, Di, Di, Disco!
      C'mon! C'mon! C'mon! C'mon!
      ぃいやっほぉ〜う!」
えりか:「お前だあーっ!!」

●テーブルトーク(7)

えりか:「この中にひとり、枝豆好きがいる」
 一同:「お前だあーっ!!(えりかを指さす)」

おしまい


639 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/08(土) 18:46:08 0+RupYQN0
それなりに面白いんだけどネタがいまいちわからん
あとリクエストなんだがこんな設定で話ができないかな
ハロプロ学校法人が財政的な理由からグループ内のベリーズ女学院とキューティ女学園が合併することになる
しかし両校は長年のライバル関係で簡単にはいきそうにない
続きは1にお願いします

640 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/08(土) 20:51:34 22NvYbGh0
>>639
1はあいにくベリメンには詳しくないので書けないよ
ただベリキュー競演はどんな方法があるかなと考えた事はある
やっぱり学園物でしょうね

自分だったらベタにエリート校「ベリスクール」と貧乏校「キュー学園」の確執と和解そして友情みたいな
味付けにするかな


641 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/09(日) 11:38:24 UzOTtWHl0
>>639
 やっぱネタが分からないかあ〜。これも世代の差なんだろうなぁ…orz


642 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/09(日) 11:43:41 4c4gAmXp0
世代と言うよりヲタと一般的アイドル好きぐらいの差だろ
単に知ってるか知らないかぐらいの

643 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/09(日) 13:08:37 XKU8Qiql0
犬の名前の話が出てて思ったんだけど犬の名前はキュートでいいんじゃね?
苗字も大方矢島だしまだ名前として出てきてないし

644 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/09(日) 13:46:06 lR4zFQut0
>>643
>犬の名前はキュートでいいんじゃね?

ハッ!!何でそれに気がつかなかったんだろ?
苗字でキュートは使いづらいからそれいいと思う

苗字はの今んとこ矢島が暫定っぽいけど
犬の名前以上に決めづらい上、みんなが納得する共通の苗字ってむずかしそうだ


645 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/09(日) 14:49:39 1U2TtMnl0
>>644
そこで村上ですよ


646 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/09(日) 15:05:55 lR4zFQut0
>>645
…………真剣に考えてみる

村上 舞美
村上 えりか
村上 早貴
村上 栞菜
村上 愛理
村上 千聖
村上 舞

…ちょっと字面が地味な気がする

647 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/09(日) 16:59:35 HyVzR2p/0
ハローの誰かを母親役にする?(故人にするのもアリで

648 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/09(日) 17:43:26 hiXYYT7h0
犬の名前は当然ラブでしょう、『愛』と書いてw

649 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/09(日) 19:44:32 lR4zFQut0
>>648
いいスね

・9月10日に拾った(貰った・買った)から単純に命名「キュート」
・人になつかない孤高の性格・だけど愛情に飢えているからあえて愛と書いて「ラブ」と命名

の二匹の愛犬あり…とか

>>647
故人ってとこで人選がむずかしくなるよ

ついでに自己レス
>>646
字面もそうだけど、苗字は「ムラカミ」より濁音入りの方がハマる気がする

650 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/09(日) 21:15:25 9MAErBxG0
お母さんを故中澤にして苗字中澤にしちゃえば?

651 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/09(日) 22:40:11 lR4zFQut0
お母さんは優しいイメージの人がいいな…

652 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/09(日) 23:32:02 sxMH0XOz0
母親役は下から選んでくれ。
吉永小百合
宮崎美子
西村知美
鶴田真由
佐野量子
はしのえみ

653 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/10(月) 21:31:52 3QH/oxNk0
http://suspender.run.buttobi.net/upload/img/sus315.jpg

654 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/10(月) 22:49:39 wWREukrk0
>>648は村上愛(めぐみ)のことを掛けたんだろうなきっと
直接メグミってのはアレれだからラブにしたとか、だったらメグでも良いかw
本当に姉妹みたく仲が良いし家族愛に満ちてる感じ

655 名前:℃-uteの日記念age 投稿日:2007/09/10(月) 23:02:40 re8Kcuws0
>>654
いや>>598も犬ネタで書いてるけど犬の名前に「メグ」とつけるのは反発ないかな?
本来なら姉妹の一員であったはずの子が「犬扱い」かよって

656 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/10(月) 23:11:10 oeZ9eh2e0
そのへんは微妙だよね
全然出ないよりなんらかの形で出して欲しいと言うファン心理もあるだろうし、扱いが平等じゃと言うなら故人なら良いのかともなるし、、、
ただメグファンはヘビーでマニアックなコアな層だから個人的に反発は少ない気がするけどどうかな

657 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/10(月) 23:14:02 oeZ9eh2e0
逆にペットの犬も家族の一員で平等だというベタな展開もアリカンな?w

658 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/10(月) 23:27:03 re8Kcuws0
>>656-657
自分は犬扱いするなら本編ゲストで出した方がいいと思うな。
方法はあると思うし。
今は遠くに引っ越していった、いつも姉妹みたいに一緒に遊んでた隣の女の子、みたいな。

現実には℃-uteメンとメグの再会は(ファンの前では)叶わない夢だけど、
ドラマとしてなら可能、「メグとの再会」なんてそれだけで一本濃い話が作れるおいしいネタだと思う。

659 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/10(月) 23:42:43 kfPs7SD30
出演できるならメグは以前近くに住んでいた従姉妹で引っ越しで長く会ってないとか、夢がある設定なら外国に留学してて一時帰国するとかもありかも
自分は娘。→ベリ&キュート移行組だけど最近はキュートにはまってる。べリの舞波卒業コンのDVDにラストの舞台裏に会いに来たのがメグらしいけどホントかな。確かにメグって呼んでるように聞こえるんだが

660 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/11(火) 00:07:15 joJQNseE0
>>659
>従姉妹
はいいね。「住んでる所が現在遠くてなかなか会えない」設定も同意ス
しょっちゅう出られてもありがたみが薄れるし、現在は一般人な訳ですし…。

自分はいわゆる黄金厨→(ブランク)→キュートでハロ復帰
メンバーが七人もいて、しかも見た目も年齢もバラバラなのに全員が仲よさそうでまとまってるって
奇跡みたいなグループだよね。リターンするなって方が無理だよ

661 名前:(^_^)bこっちもよろしく 投稿日:2007/09/11(火) 23:25:13 vFLpt24/0
Berryz工房がブレイクしない理由をマジで考える 4
http://tv11.2ch.net/test/read.cgi/ainotane/1177439705/n

662 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/12(水) 04:45:28 jACRpxo70
皆さん乙! いつも楽しく拝見させて頂いてます。
ところで、これちょっと見てみて

ttp://jp.youtube.com/watch?v=RV0eKUZf_aQ

最後の方で何か夢のような話してるんすけど


663 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/12(水) 19:51:17 /VVgI+0s0
>>662

栞菜の設定公認キタ━━━━━━━━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━━━━━━━!!!!!!


それにしてもこれは嬉しい発言!!
文字に起こして次スレのテンプレに入れたいくらいス(。´Д⊂)


664 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/12(水) 20:18:04 /VVgI+0s0
自分で文字に起こしてみました。
最後の栞菜の顔は特に気にしないで下さいw


从・ゥ・从:舞美「あたしたちが一緒のクラスになることないけどさあ、ドラマとかでやってみたいよね」

ノk|‘−‘): 栞菜「姉妹やりたい!!」

从・ゥ・从:舞美「ちょっと、それ夢」

ノk|‘−‘) :栞菜「姉妹でおんなじ学校がいい!!」

ノソ*^ o゚):早貴「楽しそうヤバーイ!!」

ノk|*‘ρ‘) :栞菜「七人全員が姉妹で、学校が一緒で、七人しか住んでないの家に…」

665 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/12(水) 22:53:56 jqO2dfmzO
栞菜も舞美も2ちゃん見てるなw
舞美もマイケルジャクソン大好きとか言ってたし

666 名前:ワン・モア・タイム 1 投稿日:2007/09/12(水) 23:39:40 /VVgI+0s0

「はあ〜あ……」

みんなが集まる居間の、壁に掛けられた八月のカレンダーの、
赤丸がつけられた日付けを眺めながら、マイはひとり大きな溜め息をついた。
印の上に、誰かがカラフルなペンで書き加えた『花火大会!』という文字の浮かれ方が
今日はみんなにとって特別な、楽しみな日であることを表していた。

それでもマイは、
大人ぶってはいるけれど、まだ小さいマイは機嫌の悪いときにそれを隠す事などできない。
ふくれっ面のマイは、せめて何か楽しいことでも思い出して気を紛らわせよう、と考えた。

まだ弱冠10歳とちょっとのマイだけど、生きていればそれなりの思い出がある。
特に夏は、マイの人生観を変えた大事な出来事があった季節だ。


――最初にマイの人生を変えたのは、夜店の縁日の関西弁のおじさんだった。

小学一年生の時に、みんなと行った夏祭りの縁日。
ママがいて、お姉ちゃんたちがいて、手を繋いで、何の不安も感じることが無かった。
夕闇の中の夜店の明かりがキレイで、多くの人の賑わいと祭り囃子に無条件に心が弾んだ。

そこでマイは夜店の可愛い金魚に惹かれ、姉たちと金魚すくいに挑戦した。
だけどマイの紙だけがすぐに破けてしまった。

「ねえマイもう一回やりたい」
「またマイの『もう一回』がでたよ」

姉のえりかにそう言ってからかわれた。
普段はみんなで一緒に遊ぶことが多い姉妹七人だが、いちばん年下で、
体も特に小さかったマイは、ゲームをしても何でも姉たちにかなわなかった。

667 名前:ワン・モア・タイム 2 投稿日:2007/09/12(水) 23:41:14 /VVgI+0s0
年下だから、小さいからといって勝負をしても手加減してくれる姉たちではない、
むしろマイも含めて、みんな人一倍の負けず嫌いが揃っていた。
だから勝負に負けるたびに「ねえもう一回やろうよ」といって再勝負をねだるのが
マイの口癖であり、それをいつも姉たちにからかわれていた。

その時もマイだけもう一度挑戦したが、今度ももう少しのところで
紙が破れてしまって、金魚はすくえなかった。

「ねえもっかい〜!!」
「もういいよマイ、ウチらはすくえたんだから家に帰ったらこれみんなで飼おうよ」
「でもお……」

優しく姉の舞美が言ってくれたが、納得できないマイが夜店の軒先で駄々をこねていると
縁日のおじさんが、網で水槽の中の金魚をひょいと一匹すくってくれた。

「ええよお嬢ちゃん、可愛いからこれあげるわ。特別やで、特別」

そう言っておじさんが水槽の中でも特別に大きい黒い出目金をくれた。
「いいんですか?」とママが恐縮そうに訊ねていたが、マイは何のためらいも無く
ビニール袋に入れてもらったそれを受け取り元気に答えた。

「おおきに!」

マイの手に下げられた黒くて大きい出目金は、姉たちのどの金魚よりも立派に見えて
とっても誇らしかった。
そしてマイはこの時(女の子は可愛いと得なんだなあ)としみじみ思った。

『女の子は小っちゃく、可愛く、そしてお得に生きていくものだ』

という、マイの最初の人生哲学が誕生した瞬間だった。

668 名前:ワン・モア・タイム 3 投稿日:2007/09/12(水) 23:47:30 /VVgI+0s0

……あの金魚をもらった時は本当に嬉しかったな。
思い出し、マイは塞ぎ込みがちな気分が少し和らいだ気がした。
そして再び壁の、カレンダーの横に掛けられている六つの空のハンガーと、
小さな赤い柄の浴衣に目をやり思った。

今年は赤い浴衣なんだ、マイのお気に入りの、あの年の夏と同じ……。


――次にマイの人生を変えたのは、出目金をもらってから何年後かの夏、
   マイが小学校の中学年くらいになった年だ。


「うわー、すごい綺麗」「どれがいいかな!?」「あの赤い柄カワイイ!!」

自宅の居間で広げた七種類の浴衣の生地を前に、姉妹たちの瞳が輝いていた。
成長期の女の子が七人、一年経てば去年と同じ浴衣を着られる子はいなかった。
なのでママは、毎年夏前に浴衣生地を買ってきて、七人分の浴衣を手作りで新調してくれた。

下の子が成長したら、上の子が小さくて着られなくなったのを着せればいいのだが
普段着ではいつもそうやって下の子にお下がりを着せているので、年に一度の浴衣だけは
みんなに新しいのを着せてあげたい、というママの親心だった。

誰がどの柄の浴衣を着るかはじゃんけんで決めたが、マイは一番に負けてしまった。
マイは赤い地に花柄の可愛い生地が気にいってどうしてもそれが着たかったが、
「もう一回」という再勝負の願いはこの時あっさり却下された。
(お洒落に関する女の子の勝負は特にシビアなのだ)

「やったあ、じゃああたしこれ!」

じゃんけんで勝って赤い柄の浴衣生地を手に入れたのは舞美だったが、
マイはまだそれを諦めきれずにしばらく見つめていた。

669 名前:ワン・モア・タイム 4 投稿日:2007/09/12(水) 23:55:15 /VVgI+0s0

「……いいよマイ、この赤いのがいいんでしょ?これマイにあげる」

マイの視線に気付いたらしい舞美が、そう言ってマイに赤い浴衣生地を手渡した。

「本当!?」
「うん、あたしもうお姉さんだから、本当はもうちょっと渋い柄がよかったんだ」
「ありがとう舞美ちゃん!!」

(いつも優しい舞美お姉ちゃん大好き!!)
恥ずかしくて口に出しては言えない言葉は、心の中だけで付け加え、
マイは満面の笑みで舞美に答えた。


そして、その夏はみんなで楽しみにしていた花火大会に出かけた。
ママと姉たちと、新しく作った浴衣を着て、ゆっくり歩いて夕方前には花火大会の会場がある
大きな川の川下に着いた。

「今から歩いていけばちょうどいい時間だね」
「今年は近くまで行って大きい花火を見ようね」

愛理と栞菜がわくわくした口調で言った。
二人だけじゃない、「今年は近くで花火を見ようね」とみんな張り切り、
川上にある花火大会の打ち上げ会場まで、河原を歩いていく事にした。

やがて浴衣を着ていてもやんちゃな癖が抜けない千聖が、歩きながら河原の石を一個拾うと
川面に向かってピュッと勢いをつけて投げ、石はピシッピシッと水面の上を二度跳ねて沈んだ。
石を水面で跳ねさせる「水切り」という遊びだ。

670 名前:ワン・モア・タイム 5 投稿日:2007/09/12(水) 23:57:50 /VVgI+0s0

「おー、やった!」

千聖が浴衣だというのにガッツポーズをして飛び跳ねていた。
みんなもそれを見て石を拾って川面に投げ始めた。

「やったー、できたー!」「あー、失敗だ」「今の惜しかったのにー!」

マイも挑戦してみたが、マイと愛理とナッキーが投げた石だけがポチョンと軽い音を立てて
そのまま沈んでいってしまった。

「よーし」「今度こそ!」

姉妹たちみんなが「もう一回」となり、歩くのが止まってしまった。
面白そうなことを見つけると真似せずにはいられない、そして何かに夢中になると
他を忘れてしまう、まだまだみんな子供だった。
ママはそれを後ろで静かに見守っていてくれた。
そして誰かが投げた石が、水面の上を滑るように、低くてするどいスピードで、
川の向こう岸まで届くような勢いで跳ね続けていった。

「すごーい舞美ちゃん!!」「ちょっと、今何回跳ねたのー!?」
「へっへっへ〜」

舞美がちょっと照れながら、でも自慢気に笑っていた。
小学校に入学してからすぐにソフトボールを始め、三年間ソフトボールをやったあと
男の子に交じって軟式野球まで始めてしまった体力自慢の舞美は、肩も抜群だった。
そして、そのままみんなでしばらく石投げを続け、愛理とナッキーの石は跳ねるようになったが、
マイだけが何度投げても成功できなかった。

671 名前:ワン・モア・タイム 6 投稿日:2007/09/13(木) 00:19:00 2P5saOUH0

「わぁ、もうそろそろ行こうか、遅くなっちゃう」

ようやく舞美が時間に気をやり、みんなをうながしたが、マイは一人納得がいかなかった。

「やだ、マイまだやる!」
「でも、今年は近くで花火を見るんでしょ?早く行かないと場所が無くなっちゃうよ」
「でもお!」
「じゃあ、もう一回だけだよ」
「うん!」

マイは(これが最後!)と掴んだ石を力いっぱいに川に投げたが、
一度沈んだ石はそのまま水面に姿を現すことはなかった。

「さ、もいいいでしょ?行こ」
「……もう一回やる!!」
「マ〜イ……」

返事も聞かずにただ掴んで放り投げた石は、乱暴な音をたてて沈んだだけだった。

……もう、なんでマイだけできないんだ?
悔しくて、悲しくて、腹立だしくて、よくわからない感情にかられたマイは
何かに当たらずにはいられないように、浴衣の右袖を乱暴に振り回した。

「もう、この袖が邪魔なんだよ!」
「マイ、せっかくママが作ってくれた浴衣なのに!」

いつも優しい舞美のいつにない強い口調に気おされたマイは、
それでも意地になって答えるしかなかった。

672 名前:ワン・モア・タイム 7 投稿日:2007/09/13(木) 00:55:08 2P5saOUH0

「違うもん、この浴衣のせいだもん!こんな浴衣着てるからいけないんだもん!!」
「マイ!!」
「だってえ!!」

そう言って再びしゃがんで河原の石を手に取ったマイを、
舞美はしばらく無言で見つめていたが、やがてプイと向こうを向いてしまった。

「ママ、えり、行こ!」

そして舞美はママとえりかの手をとると、
そのまま花火大会の会場の方へスタスタと歩いていってしまった。

ママが困った表情でマイを振り返っていたのが見えた。
歩いていくママと舞美とえりかを見て、愛理と栞菜とナッキーが迷っていたようだったが、
やがて舞美とママの方について行ってしまった。

「千聖も行けばいいよ、マイはここでひとりで石投げやるもん!」
「でもお……」
「いいじゃん、みんないっちゃえばいいじゃん!!」

ただひとり残ってくれた千聖にも、マイは怒鳴ってしまった。
千聖はそれを聞いて悲しそうにみんなの方に走って行ってしまった。

673 名前:ワン・モア・タイム 8 投稿日:2007/09/13(木) 01:24:14 2P5saOUH0

「……いいもん、マイはここで石投げやるもん!」

そう言ってマイは、日も暮れてきた河原で、ひとりで石投げを続けた。
だけどももう「水切り」を成功させることなど考えていなかった。
頭の中は別のこと、さっき別れた姉たちのことでいっぱいだった。

ふん、なんだよ舞美ちゃんも千聖も。
元はといえば千聖が石投げなんかするからいけないんじゃないか。

……そして、さっきの、悲しそうな千聖の顔が頭に浮かんだ。

いっつも一緒に遊んでくれる優しい千聖、
マイのために浴衣の赤い柄を譲ってくれた優しい舞美ちゃん、
ママが作ってくれた可愛い浴衣、
みんなが楽しみにしていた花火大会、
それなのにつまらない意地を張って、全部を台無しにしてしまって……。

暗くなった河原に寂しく石が落ちる音が響いた。
涙でにじんだ視界に、ぼんやりと川の流れが映っていた。


マイは、このとき、何度「もう一回」と願っても、返ってこない時間があることを知った。

674 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/13(木) 01:29:07 2P5saOUH0
……すいません後半は明日の夜貼ります。
長い話は一晩で貼るのはキツイす。

いつか本当に栞菜に読ませられるようないいお話が書きたいなあ。

675 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/13(木) 19:30:17 RNbFOMYE0
乙です!!楽しみに待ってます

676 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/13(木) 23:11:00 t/tPIr4r0
>>665
 そう思いたくもあり、思いたくなくもあり…。
 もし見てたら、めったな文章あげらんなくなってしまいそう(^^;

>>674
 だだっこマイマイいい感じです。
 気長に気楽にいきましょう。w

677 名前:ワン・モア・タイム 9 投稿日:2007/09/14(金) 00:35:10 ukeajEAe0

……なんだよ、楽しいことを思い出すはずなのに、何で悲しいことを思い出すんだ!?
おかげでますます気が滅入ってきちゃったじゃないか、
もう起きてるのもシンドくなったマイは、掛けてある浴衣の前で横になった。

何か夏の楽しい思い出、嬉しい思い出……、


ゴホッゴホッ!

居間に敷かれた布団に横になり、本当は今日着るはずだった壁の浴衣を眺めていたら
それまで我慢していた咳が急に出てきた。

「あーあ、マイもいっしょに花火が見たかったな……」

そしてマイの口から、咳と一緒にずっと我慢していた言葉が漏れた。
そりゃ夏風邪なんてひいちゃう自分が悪いんだけどさ、今頃みんなは花火大会を
楽しんでるんだろうなと思うと、不機嫌を通り越してなんだか悲しくなってきてしまった。

せっかく弱音を吐かないように気張ってきたのに、何だか気が抜けてしまった。
そしたら急に体がつらくなってきた気がした。どうしよう、熱も上がってきたみたいだ。
だんだん不安になってきて、とうとう声が出てしまった。

「……舞美ちゃあん」
「どうしたマイ、体ひどくなってきた?」

そう言って、舞美が布団の上に横たわるマイの顔を上から覗きこんだ。
ああ、舞美ちゃんだ。
マイはその顔を見て、声を聴いただけでホッと安心できた。

「ううん、大丈夫。いるかなと思って言ってみただけ」
「なあにそれ、ちゃんといるから」

678 名前:ワン・モア・タイム 10 投稿日:2007/09/14(金) 00:37:24 ukeajEAe0

よかった、ちゃんと側にいてくれたという安心感を感じると、
心の余裕とともに舞美に申し訳ない気持ちが芽生えた。

「……ねえ舞美ちゃん。ゴメンね、マイのせいで舞美ちゃんも花火見にいけなくて」
「何言ってんの、マイひとりで置いていける訳ないじゃん」

舞美が優しい笑顔で答えた。
その言葉を聞いてマイは思い出していた。
ああ、あの時といっしょだ、と。


――ひとりで石投げを続けると意地を張り、暗くなった河原に残ったあの日。
もはや「水切り」の成功なんてどうでもよく、かと言って今さら姉たちを
追いかけていく訳にもいかず、ただ途方に暮れながら川面に石を投げ続けたあの時。

ひとりぼっちの時間はやたらと長く感じた。
やけになり、手に持った石を、川に叩きつけてやろうと
腕を大きく振りかぶった瞬間、遠くから大きな声が聴こえた。

「だめだよマイ、そんなに上から投げてちゃ!」
「……舞美ちゃん!?」

マイが声の方を向くと、舞美がこちらに向かって歩いてきていた。

「マイさあ、そうやって上から投げるからできないんだよ。
 もっと腕を横にして、勢いよく投げなきゃダメだよ」

そう言ってマイの横まできた舞美が、自分の右腕を横からブンブン振ってみせた。

「舞美ちゃん、花火のとこ行ったんじゃないの?」
「向こうの土手のとこから道路に上がって、どこかお店探してたんだよ」

679 名前:ワン・モア・タイム 11 投稿日:2007/09/14(金) 00:39:50 ukeajEAe0

舞美の左手には布の紐が握られていた。

「舞美ちゃん、その紐……?」
「マイ袖が邪魔だって言ってたでしょ、だからこれで袖を縛れば邪魔にならないと思ってさ」

それは帯の下で、浴衣の胴の部分を巻いて締めるための布の紐だった。

「もう、おトイレで浴衣脱ぐのすごい大変だったんだからね」
「……舞美ちゃん、もう怒って行っちゃったかと思った」
「何言ってんの、マイひとりで置いていける訳ないじゃん」
「舞美ちゃん!!」

跳びつき抱きついてきたマイの頭を軽く撫でたあと、舞美は言った。

「さ、やるよ!」
「うん!」
「ちゃんとママに教わってきたんだから。袖のここのところに紐を当てて、と」

舞美は持っていた紐にマイの浴衣の袖を巻きつけると、それをマイの体に回しはじめた。
マイはその時、舞美に謝らなきゃいけないと思い口を開いた。

「ねえ舞美ちゃん、マイさあ……」
「ただのわがままじゃないって知ってるよ。
 マイはさあ、みんなができる事は自分もできないと嫌なんでしょ?」
「……」
「それでみんなの足手まといになるのが嫌なんでしょ?」
「…………」

小さい頃から七人全員で遊ぶことが多かった。
みんなでいろんな遊びをした。

680 名前:ワン・モア・タイム 12 投稿日:2007/09/14(金) 00:43:12 ukeajEAe0

まだ小さいからできない、と言われるのが嫌だった。
マイがいる方が負ける、と言われるのが嫌だった。
足手まといが嫌だった。邪魔になるのが嫌だった。だから必死にみんなに追いつきたかった。
だからつねに「もう一回」って言い続けて……。

「舞美ちゃん……」

マイは泣きたくなったが、自分の体を見たらそれどころではなかった。

「たしか、こうして、こうするんだよ……、あれ!?」

マイの体は、舞美の不器用な手付きで巻かれる紐でグルグル巻きにされていた。
もう、ここは泣かす場面じゃないのかよ!?
そしてマイの感動も憤りも、いつもの舞美のアバウトな一言で締めくくられた。

「おっかしいなあ……。ま、いっか!」

きっと「たすきがけ」ってのをしたいんだろうな、とマイは思っていたが
出来上がった形は、とてもそうは呼べない不恰好なものだった。
それでも、浴衣の袖ごとマイの体に、舞美の力で強引に締められた紐で、
体だけは窮屈だがマイの右腕は全然楽に動くようになった。

「さ、これで袖は邪魔にならないよ。
 これで、さっき言ったみたいにもっと横から投げてみな」
「うん!」

681 名前:ワン・モア・タイム 13 投稿日:2007/09/14(金) 01:46:32 ukeajEAe0

「もうちょっとじゃん!マイさあ、腕に筋肉ないから力で投げようとしてもダメなのよ。
 もっと力を抜いて腕をしならせるみたいに投げてみな」
「うん!」

「おしーい!そしたら今度はもっと腰からひねるように投げてみな」
「……よーし!!」

一投ごとに段々上達していく感触を感じたマイが気合を込めて投げた次の石は、
ヒュッという今までとは違う手ごたえとスピードで、水面を見事三回跳ねてから姿を消した。

「やったあー!!」「できたじゃんマイー!!」

マイと舞美が飛び上がって喜ぶと同時に、二人の後方から歓声が上がった。

「おめでとー!!」「さっすが!!」「やったじゃんマイ!!」

マイが驚いて振り返ると、河原の後ろの土手のところにママと姉たちが立っていた。
千聖がガッツポーズをしていてくれた。ママが微笑んでいるのが見えた。
そのとき、まばゆい光とともにドーンという大音響が河原に鳴り響いた。
川上で花火が打ち上げられる時間だった。

「うわー」「きれーい」

みんなが花火に目を奪われた。
今ならさっき言えなかったことが言える気がする。
マイは隣で花火を見上げる舞美の顔を見て言った。

682 名前:ワン・モア・タイム 14 投稿日:2007/09/14(金) 03:00:13 ukeajEAe0

「……舞美ちゃん、さっきはごめんね」
「ううん、何てことないよ。それよりさあ、花火ここからでも充分綺麗だね!」
「うん!」

……後悔は、過ぎた時間は、返ってこないかもしれない。
けれどもマイは、この日「失敗をやり直す時間なら必ずやってくるんだ」ということを知った。

後ろに温かい家族を感じて、大好きな舞美と手を繋いで見上げた綺麗な花火。
忘れられない夏になった。



「ちょっとマイ、何で寝てんの!」

舞美の大声に慌ててとび起きたマイは、寝ぼけ眼であたりを見回した。
浴衣を着たお姉ちゃんたち、赤い浴衣、カレンダー、花火大会……、

「ああ、そうだ、今日は花火大会!!」

思い出した。みんなが浴衣の着付けをしてもらってる間に、あんまり退屈なんで
昔のことを思い出してて、そのうち寝ちゃったんだ。

「そんなとこで居眠りしてて、去年みたいに夏風邪ひいてもしらないからね」
「そうだよ、今年こそみんなで花火大会に行くんでしょ?」

えりかと舞美があきれて言った。

「だってマイの番、遅いんだもん!!」
「マイが自分で浴衣は窮屈だから一番最後でいいって言ったんじゃん!」
「はい、はい、機嫌直して。浴衣着せてあげるからそれ持ってきな」
「……うん!」

683 名前:ワン・モア・タイム 終 投稿日:2007/09/14(金) 03:42:22 ukeajEAe0

悔しい、ずっとむかついてたのにあっさり言い返された。
……でも、何か大事なことを思い出せた気がするからいいや。

おととしの夏、マイに河原で石投げを教えてくれた舞美ちゃん。
去年の夏、風邪をひいて寝ていたマイとずっと一緒にいてくれた舞美ちゃん。

今年も大好きな赤い柄の浴衣だ。
マイは着付けをしてくれる舞美の顔をじっと見つめていた。

「何笑ってるのよマイ、もう機嫌直ったの!?」
「ふーん、別に!」
「こっのー!」

口ではそう言ったが二人とも笑っていた。


「みんな浴衣着たね?忘れ物ないね?じゃ、行くよー」
「おー!」「屋台も見ようね!」「楽しみ楽しみー」

舞美の号令でみんなで家を出た。

「ねえ、そこまでみんなで手繋いでいこうよ」
「いいよ」

マイの提案で、大通りに出るまでみんなで手を繋いで歩くことにした。

……今年はママがいないけれど、マイを包んでくれる大きな愛は変わらない。
遠くから、かすかに祭り囃子が聴こえてきた。
マイの心は、あの時のように弾んでいた。

684 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/14(金) 03:46:02 ukeajEAe0
……けっきょくまとめきれずにgdgdで終わった印象
しかもまたこんな時間だorz

頭切り替えて次のネタで頑張るス

685 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/14(金) 21:46:00 km49KQ5i0
>栞菜「七人全員が姉妹で、学校が一緒で、七人しか住んでないの家に…」

ドラマとしての話とはいえ、これって栞菜の「朝から夜まで一日中ずっと七人でいたい」って
願望の表れのような気がする
後入りの、あの大人しかった栞菜が今やすっかり地を出し、これだけ「みんなといるのが楽しい」って思える
℃-uteっていいグループなんだなと思ったよ


686 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/14(金) 23:51:39 7Tc8uGeb0
>>684
 作家1号さん、乙でした。
 今回はいつものツッコミ役から、末っ子モード全開の舞ちゃん。w
 舞美は早いうちから、いい母親役だったんですね。

 「水切り」のもうひとつのコツは、
  平らでスベスベした石を選ぶこと。

 いやーなーつかしぃなーぁw。

687 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/15(土) 10:43:33 +asmVysm0
千聖が「トランペットが欲しい黒人の子供」状態になってペットショップのショーウインドウに
へばりついてる絵を思いついた。

犬初登場回のサブタイトルは『キュートガヤッテキタ』にしよう。

688 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/15(土) 20:16:07 +asmVysm0
いつの間にかこのスレも496KB
たしかスレの容量って512KBまででしたよね?もっと区切って貼ればよかったと今さら反省

しばらく次スレ用のテンプレの話とかウダウダしていていいですかね?
もうしばらく続きがやりたいス

689 名前:テンプレ案(シンプルにしてみました) 投稿日:2007/09/15(土) 20:38:15 +asmVysm0
℃-ute七姉妹物語

もしも℃-uteの七人が姉妹だったら?を妄想するドラマ小説スレ。

長女 舞美  高二  陸上部(幽霊部員)
 母親代わりを自認し頼れる力持ちだがドジ。基本的に大雑把。
次女 えりか 高一  帰宅部
 何事もユーモアで切り抜ける現代っ子だがナイーブな一面も。舞美好き。
三女 早貴  中三  文芸部
 優等生でしっかり者。フォローにまわる損な性格。あだ名は泣き虫さき=なっきぃ。
四女 栞菜  中二  新体操部
 潔癖症で男のコが苦手の女のコ好き?感受性が強く、どこかセンスが変。
五女 愛理  中一  吹奏楽部
 女の子らしく優しい。あがり症で大人しいが、マイクを持つと性格が豹変。
六女 千聖  小六
 男勝りで正義感が強く、やんちゃ。実はリボンや花柄が好きな女の子らしい面も。
七女 舞   小五
 自由奔放でマスコット的存在。ツッコミが鋭い。趣味はサングラス集め。

690 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/15(土) 20:38:30 ORfHgO4v0
オレ的もうひとつの七姉妹物語を考えてる
村上愛を従姉妹にした設定があったがそれを膨らませて母親同士が二卵性双生児、矢島と村上が同じ双子だが大人の事情(跡継ぎがいないが子供に恵まれなかった等)で養子に出される
その後村上家にも待望の子宝が誕生(えりか、愛理、舞の計三人)
また矢島家にもナッキー&カンナの双子(二卵性)と千聖(計五人)
その後両家族の不慮の事故で従姉妹七姉妹が一緒の家に住むことになる
とりあえずこんな感じ
実際問題として七人も産むとなるとリアリティが厳しいと思うし(確かに大家族のテレビドキュメントはあるが)従姉妹同士の方がある程度顔が似てなくても融通が効く
感想があればよろしくです

691 名前:テンプレ案 2 投稿日:2007/09/15(土) 20:47:00 +asmVysm0
・芸スポ板に立った「鈴木愛理写真集スレ」の、何故か「こんなドラマが見たい」という妄想から派生

・基本設定は「℃-uteの七人が姉妹だったら?」のみ
 あとの設定は書き手次第で自由に。何でもありで描いていきましょう。

・「こんなシチュエーションは萌える」的なネタ投稿も歓迎!

・お話進行時以外は ℃-ute関連なら多少のスレ違いでもOK。

692 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/15(土) 21:01:18 +asmVysm0
>>690

ちょうどテンプレ案2に

>・基本設定は「℃-uteの七人が姉妹だったら?」のみ
> あとの設定は書き手次第で自由に。何でもありで描いていきましょう。

って加えたとこです。
読み手が混乱しないような配慮(最初に自作の設定を明示するとか)さえあれば、
基本設定違いの話(シリーズ)が進むのも大歓迎す、是非!!

693 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/15(土) 21:12:44 +asmVysm0
次スレはドラマっぽく、「Part2」とかでなく
お話収録を模したDVDっぽく「「℃-ute七姉妹物語Vol.2」か、
ドラマっぽく「℃-ute七姉妹物語・シーズン2」のどっちかがいいな。

694 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/16(日) 21:35:09 Duw6zJZ90
>>688
 レスが620→688で453KB→496KBてことは、68レスで43KB増加。おおざっぱに
見積もって723レスくらいで満杯になりそうですね。>>689くらいシンプルでもよさそう
です。

>>690
 以前出てきた「父親は音楽家」というネタを拾って、「芸術家≒女好き」という妄想を
当てはめ、父親が音楽家として大成したあとに、正式に結婚した良家出身の奥さんと、
長い下積み時代に彼を支えた庶民派の恋人、プラス「夜の女」的な愛人が存在して
いて、それぞれのあいだに子供が生まれた…っていうのを考えたりしてましたw。

>>693
 「℃-ute七姉妹物語 第2巻」てのはどうでしょう。

695 名前:ねぇ、名乗って 投稿日:2007/09/16(日) 22:27:23 ++Z++Vht0
>>694
テンプレと数えナンバーは、実際スレ立てる事になる人に任せちゃいましょうよ。
正直何でもいいです。場があるだけで有り難いです。

C-ute 7 Sisters Log Page Project
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